-Story-3つの物語
切落し編

産直豚をもっと気軽に食卓へ! 社運をかけた商品開発

開発に着手したのは2008年。商品コンセプトは単純明快、「手ごろな価格で、使い勝手のよい産直豚肉のラインナップを作る」ことでした。

品質のよい産直豚肉を適正な価格で購入すれば、市販品に比べ商品価格が高くなるのは当然です。しかし、産直豚肉の利用は伸び悩んでいました。産地と組合員をどうやってつなぐのか? どうすればみんなが幸せになれるのか? パル・ミートが直面した大きな課題を解決するべく動きだした一大プロジェクトが、この「産直豚切落し」の開発でした。

「切落し」のイメージを変える!

それまで、産直豚肉のラインナップは大きく分けて2つ。豚バラスライスなど部位ごとの塊肉を一定の厚みにスライスした「うすぎり」と、ウデ・モモ肉を主体にさまざまな部位の端切れ肉を合わせた「小間切」です。パル・ミートが注目したのは、この2種の中間に位置する「切落し」でした。

言葉のもつイメージから余った肉の寄せ集めのように思われがちな切落しですが、パル・ミートはそのイメージを覆すことを決意しました。手ごろな価格だけでなく、高品質で使い勝手のよい豚肉をめざしたのです。
原料肉は薄切りとまったく同じ、部位ごとのブロック肉を使用。焼く・煮る・蒸す、どの調理法でも使いやすいよう、スライス厚は3mm程度に。ほどよくかみごたえがあり、産直肉の味わいを充分に実感できる厚さに設定しました。

理にかなった製造ラインで生産効率を大幅にアップ!

本品最大のテーマは、産直豚肉をふだん使いできる価格で届けること。原料の品質も価格も変えることなく、パル・ミートの担当する製造工程でどこまでコストカットできるかが課題でした。

切落しという不ぞろいな形態を選んだことも、コストダウンの方策のひとつです。ブロック肉を端から端まで使いきることができるため、原料の無駄がなくなりました。
そして生産効率を上げるために取り組んだ最大のポイントは、できるだけ機械化を行った製造ラインです。自動計量機はパル・ミート仕様に改良。商品の規格に合わせて測り、パックの上に落としていきます。機械化は、なるべく人の手に触れず、迅速に生産できるため、衛生面においても効果を発揮します。
試行錯誤し、何度も改良してきた製造ラインですが、その向上に終わりはありません。常にもっと効率化できないかを考え、これからも改良を続けていきます。

人まかせにしない。日々の清掃が品質維持につながる

機械で効率化を図り、製造コストを抑える。その一方で、コストも時間もかけて行っているのが「清掃」です。

たかが掃除、と思われるかもしれませんが、食品工場において、衛生環境は何よりも大切なもの。業界では一般的に、清掃会社に外注することが多いといいますが、パル・ミートは従業員自身が責任をもって清掃を行うことを大原則としています。毎日掃除をすることで、機械の不調を発見しやすくなり、故障や不具合を未然に防ぐことができるからです。

製造コストを下げて価格に反映させた「産直豚切落し」シリーズ。広報努力のかいもあり、今では、パルシステムで利用される冷蔵豚肉の半分以上を占める看板商品に成長しました。本シリーズの開発は、部署を横断して行った初めてのプロジェクト。パル・ミートが会社としても成長した出来事でもありました。