代表挨拶

代表理事 理事長 大信 政一
代表理事 理事長
大信 政一
代表理事 専務理事 渋澤 温之
代表理事 専務理事
渋澤 温之

2023年は関東大震災から100年を迎えます。南関東を震源とする大地震は、死者・行方不明者あわせて10万5千人におよぶ史上最悪の被害をおよぼしました。とくに木造住宅が密集していた東京は広範囲で火災が発生し、6割の家屋が罹災しました。被害と混乱のなかでさまざまな流言が飛び交い、多くの人々がいわれなく殺傷されるという痛ましい事件が起きたことも忘れてはなりません。

関東大震災による被災者救済を目的に東京へ移住し、献身的な活動を果たしたのが "生協の父" と呼ばれる賀川豊彦でした。賀川は、西日本を中心に多額の支援金を集め、被災者の心のケアや医療の提供、女性をはじめとする災害弱者への物資支援などに尽力しました。さらに生活困窮者のために信用組合を設立するなど、現代の災害支援に比肩する活動を展開しました。

近年発生しているロシアのウクライナ侵攻やコロナ禍、異常気象、そしてそれらにともなう経済の混乱は、社会的弱者を増大させています。先行きの見えない社会不安は、それぞれの立場や意見の違いに不寛容な人々を生み、孤立と分断を発生させています。孤立する多くの人が心の拠り所を求める社会背景は、関東大震災にも通じます。賀川が実践した「友愛互助の精神」に基づく協同の役割は、今後ますます求められていくことでしょう。

こうした社会の要請にこたえるべく、パルシステムグループは「パルシステム2030ビジョン」で5つのキーワード「たべる」「つくる」「ささえあう」「きりかえる」「わかりあう」に基づき、持続可能な社会の実現に挑戦しています。

生活に困窮する世帯を支援する活動は、商品供給の過程で発生する予備食品などを子ども食堂などへ提供し、計45万食を超えました。組合員からの募金を活用した奨学金制度は、支給対象者を18名へと着実に増やしています。環境保全活動については、配達時に使用する通い箱を再生プラスチック原料へ切り替え、累計763トンのプラスチック削減をめざします。

いずれの取り組みも、多様な分野の団体・個人から多くの共感と感謝が寄せられており、助け合いの組織である協同組合への期待は、よりいっそう高まっていることを実感しています。これからも事業と運動の両輪の下、地域に根をおろし、心豊かなくらしと共生の社会をめざす決意です。

課題を解決する機能として、また社会的インフラの機能として、協同組合の果たすべき役割は大きくなっています。資源循環型の持続可能な社会づくりをさらに力強く進めていかなければなりません。パルシステムはこれからも、誰もが安心してくらせる社会の実現をめざします。