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農薬や化学肥料の多用で失われた自然環境を取り戻す環境保全型農業を進めてきた産地では、「自然観察会」で田んぼに戻ってきた生きものを組合員とともに観察してきました。2004年度からはこれを一歩進め「田んぼの生きもの調査」を4産地で実施。田んぼの生きものやその働きを調査し、農薬に頼らない農業ができるのではないか。生きものの営みの不思議とその多様性は「生きもの曼陀羅」と表現できると言います。「田んぼの生きもの調査」のわくわくする楽しさをパルシステム連合会商品統括本部産直事業部次席スタッフ・田崎愛知郎さんに聞きました。 |
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2004年度「田んぼの生きもの調査」に参加したのは、JAささかみ(新潟)、大潟村産地会議(秋田)、JAみどりの(宮城)、ちば緑耕舎(千葉)の4産地。調査項目は次の7点です。
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「カエル以外にも、土の中の生きものでは球根植え器を使って田んぼの四方と中央の5ヶ所の土を深さ10センチまで採取、バットに広げて水で土を流し、イトミミズの数を数えます。『田んぼの生きもの調査』では、田んぼの環境を考える指標生物はイトミミズとユスリカであるとの仮説を立てています。これらは、他の生きものの餌になるからで、今後の調査を重ねることによってはっきりしてくると思います」。 |
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JAささかみでは、2004年度45アールだったのが3町歩へと飛躍的に拡大します。 新たに参加する山形地域には、「庄内環境創造型農業推進会議」が作られます。栽培グループとして参加するのはJA庄内たがわ、庄内協同ファーム、みずほ有機米、山形大学付属農場、庄内農業高校。調査研究グループとしては山形大学、東北公益文科大学、庄内農業高校、東栄小学校、出羽三山の自然を守る会、ユーアイコープなどで、これに庄内総合支庁、藤島町、三川町などの行政が絡みます。 また2005年4月1日には、パルシステム連合会・NPOふゆみずたんぼ(岩渕成紀代表)・全農の3者を中心に全国センター「田んぼの生きもの調査プロジェクト」を結成しました。今後は生活クラブ生協、東都生協、新潟総合生協も参加することになっています。これは新たな展開です。このプロジェクトを中心に2005年度は、パルシステム連合会の6つの産直産地を含めた全国の10地域でも、「田んぼの生きもの調査」を進めていく予定です。 「これまでの有機農業は田んぼ一枚の単位で考えていましたが、これは地域ぐるみの取り組み。こうした試みを地域から発信します」「こうした試みや調査データをもとに、環境支払いなどにつなげていくことができればよいですね」(田崎次席スタッフ)。 「安全で安い農産物」と考えるなら、外国産のオーガニックにかなうはずはありません。しかし、農産物は命を育むもの。WTO体制に対峙し、日本農業が生き残る道は、しっかりと地域に根ざした「身土不二」の思想のもと、人も「生きもの曼陀羅」の中に組み込まれて生かされているという古くて新しい米作りの価値感を自覚していくことが大切なのかもしれません。 |
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![]() 「田んぼの生きもの調査」を各地で指導している宮城県田尻高校の岩渕成紀教諭(NPOふゆみずたんぼ)によると、イトミミズが田んぼに生息し、生命の営みをすることが、土を耕すことになり、その田んぼは表面が「トロトロ層」と呼ばれる、ふわふわの土になります。 冬期湛水を行うとイトミミズが増えるほか、田んぼの中は微生物や小さな生きもの、それを食べる昆虫、昆虫を食べにくる鳥が増えます。それは、「食物連鎖」という言葉がありますが、鎖と言うより網のように生きものが絡まった「生きもの曼陀羅」の世界。害虫も益虫もただの虫も、どれひとつかけてもバランスは崩れてしまいます。 |
*本ページの内容は2005年5月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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