第107回 くらしに困る世帯へ食料を届ける「フードバンク活動」を支援

くらしに困る世帯へ食料を届ける「フードバンク活動」を支援
▲2016年6月17日、「フードバンクちば」へ届けられた食品(写真左のお二人は「フードバンクちば」のスタッフ)

きっかけは「年越し派遣村」
6世帯に1世帯が「貧困」状態

近年、報道などで「貧困」という言葉をよく耳にするようになってきました。政府の国民生活基礎調査(2013年調べ)によると日本の相対的貧困率は16%、6世帯に1世帯が貧困状態にあるといわれています。

急な病気やけがで仕事を失った人や、小さな子どもを保育園に入れられず働くことができないひとり親など、ちょっとしたきっかけで、食費や住宅費が支払えなくなるほど経済的に困窮する家庭が増えています。こうした家庭は、家や車を所有し、着ている服も清潔感がある場合もあります。仕事を続けるために家も車も手放すことができないため、生活保護も申請できません。一見、生活に困った様子が見られないため、「見えない貧困」とも呼ばれてきました。

「見えない貧困」が「見える化」される契機となったのは、2008年の「年越し派遣村」でした。リーマンショックの影響から「派遣切り」された多くの人々が、年末年始に年を越す場所さえ確保できない状態となりました。パルシステムでも当時、農産品や鶏肉、パンなどを提供し、炊き出しなどに役立てられました。

以降、パルシステムでは、年末年始の相談業務をはじめ、学習会の開催や支援団体への協力などを行っています。2015年には、国の補助事業終了で活動継続が難航していたフードバンク山梨に対し、パルシステムグループ全体で100万円を超える支援金を贈呈。現在も、パルシステム山梨の配送センターから食品を提供しています。

フードバンクは、生活に困窮する人々へ食料を提供する活動です。賞味期限が近くなり販売できなくなったり、包装が変形して出荷できなかったり、食べるには問題がなくても流通されない食品を届け、生活を支援しています。食品を受け取った子どものなかには「お宝だ!」と喜び、箱を抱えて手放そうとしない光景を目にすることもあるそうです。

子どもは給食のない夏に栄養不足
千葉では家庭の資源を有効活用

▲組合員から提供された食品を稲毛センターで分類(パルシステム千葉)
▲「フードバンクちば」で仕分け作業のお手伝い

近年、深刻なのが「子どもの貧困」です。生活保護や学用品・給食費の援助を受けていたりする家庭は、相対的貧困率と同じ16%にのぼり、6人にひとりの子どもが貧困となっています。こうした子どもたちにとって、最大の危機は夏休みといわれています。給食のなくなる夏休みは、バランスのよい栄養を摂取する機会を得られません。フードバンク活動に取り組む各団体では、夏休みの食品確保が、大きな課題となっています。

こうしたなかパルシステム千葉では6月、配送の際、不要となった食品を組合員から受け取る「フードドライブ」を稲毛センターエリア内で試験的に実施しました。2300人を対象にした募集で、贈答品として受け取った乾麺やのり、調味料、レトルト食品、缶詰など、1週間で合計70kgもの食品が寄せられました。提供された食品は、配送センターで仕分けされ、地元のフードバンクちばへ贈呈されました。「当初想定していたより多くの提供があり、組合員のみなさんの関心の高さを感じました。今後は可能な地域から対象を拡大し、さらに大きな役割を果たしていきたいです」と、担当するパルシステム千葉の神田仁さんは話します。

提供する組合員からも、「ちょっとした気持ちで社会貢献できると思うとうれしい」「自宅にこれほど食べものがあったかと驚きました」「高齢なので、重たい食品を受け取ってくれるところも助かります」などと好評でした。なかには「自宅では使用しない食べものを捨てなければいけないところでした」と話す人もいました。国内では、食べられるものを廃棄してしまう「食品ロス」も問題となっています。家族構成や嗜好性で、どうしても食べることができない食品を有効活用することで、家庭での食品廃棄量を減らすことにもつながっているようです。

きめ細かな支援は震災でも存在感
「食品ロス」削減でくらし見直す

パルシステムグループではほかにも、フードバンク団体への支援を中心に貧困対策活動を進めています。パルシステム神奈川ゆめコープでは、川崎市のフードバンクかわさきの活動に協力し、食品を保管、仕分けする倉庫スペースを貸し出しています。パルシステム茨城は、フードバンク茨城と協力し、ジーピーエスやパルブレッドで余ってしまった食料を提供しています。

「食品ロス」は日本で年間約640万t、うち半分が家庭から発生しています。ひとり1日あたりに換算すると、おにぎり1~2個分。ふだんのくらしや製造・流通の工夫で、捨てられる食品を減らすことはむろん大事ですが、結果として余ってしまった食べものを困った人へ提供する仕組み、フードバンクも有意義な取り組みです。みなさんも家の中を探してみてください。もしかしたら、人の役に立つ食べものが眠っているかもしれません。

*本ページの内容は2016年8月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。

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