益子かあちゃん産地だより

今年も、刈り取りを終え水を張った田んぼへ白鳥が飛来しています。えさを与えたりして管理している仲間の新海さんのおかげです。この風景を見るにつけ心が休まり、田んぼは米をつくるだけじゃないと思います。いつまでも守っていきたい、守ってほしいという願いはあるのですが、現実的にはなかなかむずかしいことも多いですね。この時期私たちは、田んぼに堆肥をまき、2回目の田うないをし、田植えに向けて準備中です。
27年間介護してきた母を看取り、夫と中学教師をしている娘との3人生活です。息子は公務員で、結婚し船橋に住んでいます。稲刈りの時期など忙しいときに手伝いに来てくれるのでとても助かっています。本音は米づくりをいっしょにやってほしいのですが、でも、米農家は設備と機械投資の額が半端でなく、また安定していないので、息子に「いっしょにやろうよ」と言えないことが悩みどころです。一方、娘は、「お父さんとお母さんがしてきたことを見てきて私もいつかやってみたい」と言ってくれてはいるのですが、まだ独り身ですし、体力も心配なのでね…。機械化も進んでいるので、今のところは忙しいときに子どもたちの力を借りながら、とうちゃんと二人でがんばっていこうと思っています。
現在、民生児童委員の活動もしています。脳梗塞で寝たきりだった母が、地域でずいぶんお世話になったので恩返しのつもり。介護問題についてや小・中学校の行事に参加したりと、自分自身の老後のこと、孫の育て方など大いに学ばせてもらっています。3年前までは乳牛も飼っていたのですが、世話や管理などに追われ、とうちゃんと二人ではやりきれずやめました。それで最近は二人で、共通の趣味である世界遺産めぐりや旅行をしています。感動とともに、自分たちも自然や文化を大事にしていかなくてはと反省の旅でもあります。
米づくりは、日ごろの管理が大切だと思い、いつも目をかけるようにしています。大変なことですか? 強いて言えば、冬のぬかった田んぼに堆肥をまく作業や、夏の草取りでしょうか。とうちゃんは、ふだんはやさしいですが、仕事となると厳しく、「今日やることは今日!」「絶対にこれはこれ!」と譲らないんです(笑)。近郊産地なので、年間通して組合員さんたちと交流でき楽しいですよ。交流会は私たちの出番! とばかり、女性生産者も張り切って働きます。みなさんとの交流を楽しみにしていますので、ぜひおいでください。
日本の食料自給率が下がっているのに、生産者が高齢化し、食べ物をつくる人たちもどんどん減っています。担い手がいなくて米づくりの技術と知恵も失われていくのはさびしいことですね。私はからだの続く限り、とうちゃんとなんとか踏ん張っていきたいと思っています。
とうちゃんから、かあちゃんへ メッセージ。
まわりでも農家がだんだん高齢化していて、私らでもまだ若いほう。田んぼを続けることが、環境や地域を守ることにもなるから、かあちゃんにもこれからもできるだけ長くいっしょにがんばってほしいです。(夫の杉田和司(かずし)さん)
〈産地紹介〉
生産者8名。米生産農家が集まり、1998年に立ち上げた有限会社。生産者はパルシステムの組合員でもある。パルシステム千葉とは県内産地ということで、古くから交流が盛ん。生きもの調査にも積極的にかかわり、また冬期湛水栽培(ふゆみず田んぼ)も推進している。