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産直方針・基準


1.パルシステム商品政策各論 産直方針

1. 産直の考え方
  1−1.産直の目的
  パルシステムの産直は、生活者(消費者・生産者を包含する)の健康で安心なくらしに貢献するため、農業の持つ多様な価値を見直し、環境保全・資源循環を基本におき、農と食をつないで、豊かな地域社会をつくることを目的とします。
  1−2.用語定義
 
パルシステム産直 組合員と生産者が協働して、上記(1−1.産直の目的)を実現する、運動と事業をいいます。
  産地 生産者の農場・圃場、事務所あるいは施設のある地域をいいます。
  生産者 農畜産物を生産、あるいは生産・加工している特定できる個人や法人ならびに団体をいいます。
  主原料 商品仕様情報の原料第1階層の構成比が5%以上のものをいいます。構成比は仕込み水抜きで算出します。主原料は、個々の原料が5%以上か否かで判定し、積算しません。
  1−3.産直の定義
 
産直産地 産直四原則を尊び、共に進めることを産直協定書として取り交わした生産者の産地のことです。
  産直取引 産直産地の生産者との農畜産物の取引をいいます。
  産直商品 産直取引される商品をいいます。
  産直加工品 主原料の農畜産物すべてが産直産地の生産物で作られた加工品をいいます。
  産直原料使用品 主原料の一つ以上が産直産地の生産物で作られた加工品をいいます。
  1−4.産直が目指す四原則
 
1) 生産者・産地が明らかであること
2) 生産方法や出荷基準が明らかで生産の履歴がわかること
3) 環境保全型・資源循環型農業を目指していること
4) 生産者と組合員相互の交流ができること
  1−5.交流と参加の重視
 
産直は食と農を結ぶ「交流」「参加」を大切に考えます。
1) 「交流」の意義は、都市と農村、食と農の距離を縮め、組合員・生産者の相互理解を促進することにあります。
  2) 「参加」の意義は、組合員・生産者が共に、産直商品の利用、意見を出すこと、各種行事企画推進、産地地域協議会の運営など、主体的な取り組みにより、産直の担い手の育成につながることです。また相互訪問、学習会、農業体験、生き物観察、監査人講習会、公開確認会、など多様な取り組みにより農と食への深い理解から、食とくらしの見直しを進めることにあります。
  3) 「交流」「参加」を通じて、農や食生活のありかた、すなわち生産・流通・消費・廃棄のあり方を見直していきます。
  1−6.情報提供の強化
 
「食べる」から「つくる」へ、「つくる」から「食べる」へ、共感を生み出す情報を相互に提供します。
1) 食育の視点で「食べる」ことのあり方を提案します。
  2) 農産物や食べ物の正確な情報(リスクを含めた)を誠実に伝えます。


2. 産直取引
  2−1.産直産地と商品取引の考え方
 
1) 生産者、産地との協同した取り組みは、相互に自立した取引とします。
  2) 生産者との商品取引は、生産者の状況を加味しながら一定のシェアを設定し、相互のリスク軽減に努めます。
  3) パルシステムを主力出荷先としている生産者組織には、他組織との交流も持つことによって、一つの組織にとらわれない、視野を広げた産直関係を築けるよう相互に努めます。
  4) 生産者との多品目取引は、地域づくりと食と農の学びあいを促進する意義を持ちますが、リスクも多いため、生産者の評価と商品力(品質、生産能力、価格競争力、地域適合性等)評価は分けて行います。なお、生産者の商品提案力、商品管理力、営業力の強化を支援します。
  2−2.商品取引契約書と当事者
 
商品取引にあたっては、生産者と商品取引契約書を締結し、契約内容と責任関係を明確にします。
1) 産直は、生産と消費をそれぞれ代表する産地生産者組織と生協だけでなく、集荷団体、卸、加工業者、流通、生協の子会社などの連携と協同により実現します。
  2) 契約にあたっては、直接契約と共に前項の関係者の役割を明確にします。
  2−3.国際産直
 
21世紀の世界は国境を越えた商品や原材料等の流通が前提であり、国産原料のみでの商品は成り立たなくなっています。その現実に対して「生協だからできること」の立場を明確にした商品開発を進めていきます。海外産地の商品も安全・安心を基本とし、産直が目指す4原則を前提として進めます。
1) 国内の農業・水産業の自立的発展を前提とします。
  2) 公正な貿易をめざし、相互互恵の取引とします。
  3) グローバルな時代に対して、自国の自給率確保に貢献し、地域を意識したローカルな食と農のシステムに価値があることを評価し、広げていくことをめざします。
  4) 国際産直品は、生産者、あるいは生産者団体との契約により責任を持つ取引先と契約します。


3. 産直商品
  3−1.品質
 
1) 「組合員の納得」を重視した食味・品質を追求します。
  2) 商品部門別に品質基準および生産基準を定めます。
  3−2.価格
 
1) 〔利用しやすい価格〕
絶えず市場価格と競争を意識してコストを削減し、組合員の理解を得る価格を実現します。
  2) 〔生産者との合意〕
出来るだけ安定した生産を保持できる価格となるよう、絶えず市場価格を意識し、見直しを図り生産者と合意して決めます。
  3) 〔付加価値の納得性と裏付け〕
生産者限定商品や栽培肥育等での付加価値を価格に反映する場合には、組合員に納得いく説明と価値の裏付けを行います。
  4) 〔組合員理解〕
産直価格と一般価格動向(市場動向)との間にズレが生じる場合があることを、組合員に理解を得る様努めます。
  3−3.品揃え
 
1) 生産者の育成・発展を意識した商品開発をすすめます。
  2) 品揃えは常に組合員のくらしに対応したものを追求し、産直原料を使用した商品を安定的に供給する技術の向上を図ります。
  3) 「産直産地の商品が他産地との競争優位にあるか」を絶えず評価します。生産者側に改善への努力が見られない場合は、関係の見直しを検討します。
  4) 病気や災害などによるリスクを回避するため、一品目複数産地を基本とします。その他の場合は位置付けとリスクを明確にします。
  3−4.欠品・代替
 
無店舗事業は、企画からお届けまで、リードタイムが長い事業システムです。産直商品は、生産者との生産計画作りから始めます。しかし気象条件が生産量に大きく影響する為、計画数・収穫量・飼育数・注文数のギャップが大きく生じる事があります。そこで調整機能を持つ「代替」の補完があることで安定供給が成り立っています。
供給はできるだけ組合員の注文に応えることを基本とします。どうしても代替が不可能な場合は組合員にお届けできない「欠品」とします。
1) 代替については、基準の周知を徹底し、組合員の誤認を避け、理解を得る表示とします。
  2) コア・フード商品など特定の商品群については、事前にルールを周知し代替を行わず欠品とします。


4. 生産
  4−1.堆肥づくり
 
1) 堆肥づくりは農薬に依存しない農業の基礎的作業であり、地域資源を生かした継続的な生産システムを可能にするための重要な要素であると考えます。
  2) 堆肥づくりに必要な畜産業は、輸入自由化の影響や畜産公害などから危機に瀕し、堆肥づくりのコストと労力の問題は大きくなっているため、パルシステムは農法研究を支えて堆肥づくりを支援します。
  4−2.農薬と化学肥料
 
1) 農薬や化学肥料は可能な限り使用せず、総量として削減を目指します。
  2) 毒性の強い農薬は使用しないよう努めます。
  3) 1項および2項を実現するために、生産者・消費者・環境影響の立場から危険性を評価し策定した農薬削減プログラムを積極的に推進します。
  4) 農作物の安定供給、品質の保持、適正な価格、労力の軽減等の面からの農薬の必要性は認めるものとします。
  4−3.有害な化学物質
 
1) 化学物質管理の関係法を遵守します。
  2) 農薬取締法等の遵守および農薬削減プログラムの推進と更新をすすめます。
  3) 検査と対策並びに農法研究の積極的展開を進めます。
  4−4.農薬使用状況の管理と供給にあたってのリスクコミュニケーション
 
1) 生産者の農薬資材の管理と使用履歴を把握します。
  2) 使用状況の検証として、残留農薬検査等を実施します。
  3) 農薬使用について、リスクコミュニケーションの充実を図ります。
  4−5.有機栽培の評価と商品供給
 
1) 有機栽培あるいは特別栽培は、JAS法などに従い特定します。
  2) 法的認証が無い場合は表示せず、同等と認められる栽培は評価、奨励することとします。
  3) 有機栽培は、環境との調和や生命力などの自然活用による栽培であり、多収穫を目的としていません。従って、商品価値評価は従来の評価機軸とは異なり、価格体系も異なる農法と考えます。
  4) 組合員の理解と共感を得ることが前提であり、有機栽培の理解とその価値の共有を条件として、商品供給が成立することが必要との立場です。
  4−6.動物用医薬品
 
1) 抗生物質の投与はできるだけ削減し、本来の健康な育成をめざします。
  2) 重大な疾病(法定伝染病・届出伝染病認定)発生の場合または重大な損失発生が判断された場合は、家畜衛生保健所または獣医師の指導の下で、最小限の防疫投薬ができるものとします。
  3) 動物医薬品については関係諸法を遵守します。
  4) 畜産は、家畜動物の生理に基づく動物福祉(アニマルウェルフェア)の視点による飼養を奨励し、耕種農家や地域と連携し環境保全、持続可能な畜産をめざします。


5. 産直の中長期的課題
 
産直は、グローバル競争が本格化する中で、鮮度・品質・コストの視点から再構築する必要があります。多様化(流通多元化、ライフスタイル)、地域性、環境への配慮、流通(歴史的な産物、地域密着産業)、技術(バイオ、情報化)、顧客情報把握、などに対応する産直システムづくりが求められます。
現状の産直課題の解決をめざして、すでに取組んでいる課題と今後の研究課題とがあります。以下の課題について研究し、21世紀の新しい産直取り組みに挑戦します。
  5−1.地域資源循環型農業モデルづくり
 
1) 拠点産地と協同で食料・農業・農村をテーマにした総合的な産直モデルづくりを進めます。
  2) その際、環境・福祉等を配慮した総合産直と新たな交流の実現をめざします。
  3) 全国で数ヶ所モデル産地をつくり、資源循環型農業を実現します。
  5−2.地域総合産直に向けてパートナーシップづくりと産地再編
 
1) 生協のパートナーである「パルシステム生産者・消費者協議会」とともに新たな視点と成果を求め、食・農問題を取り組んでいく構造を確立します。
  2) 現行産地見直しと新たな産地開発を進めます。
  3) 生産者との提携で加工商品の開発と生産物の供給政策(主たる農水産物から、総合的な商品取り組みへ、品質と量、価格政策)を確立します。
  5−3.農業技術の研究・実践による生産者主体の技術開発
 
1) バイオ技術、情報化、オーガニックリサイクル、農法・農業技術開発(BMW技術等)を進めます。
  2) 多国籍企業による遺伝子組み換え等バイオ技術の独占化ではなく、生産者自らの地域の栽培にあった種子の維持と発見を進めます。
  5−4.地域資源の有効活用等ゼロエミッション(廃棄物ゼロ)
 
1) 地場品種の発掘や休耕地で飼料穀物の実験展開等を行い、種子の保存と地域資源の有効利用を推進します。
  2) 農業生産段階で環境対応(資源循環)とエネルギー負荷の軽減(風車やバイオエネルギー等)を研究・推進し、高エネルギー依存型の生産を改めます。
  3) 畜産廃棄物等の地域資源化を進め、循環型地域システムとしてゼロエミッションを追求します。
  5−5.農業の担い手問題と農地取得方針による共同農場等新たな関係づくり
 
1) 農村維持と新農地集約化、耕地対策、新入植運動支援等、新たな農業の担い手作りを進めます。
  2) ファーマーズマーケット(生産者直営店)づくりや生産・加工・流通・販売をすべて行う生産者の事業に協力し、ISO、HACCPなどに対応できる加工流通面からの技術導入を支援します。
  3) 農地取得(生産者団体主体、生協出資、組合員参加、関連会社取得)、農業者育成(短期・中期研修生派遣・就農支援)等、新たな交流事業の展開を進めます。
  5−6.グリーンツーリズムと食農ネットワークづくり
 
1) グリーンツーリズム(農村でのゆとりある休暇)、農業体験・自然体験等、交流事業の問題(継続できる構造、参加の多様性、事業化、交流のビジョン・中期計画作り、推進母体の明確化)について具体化します。
  2) 福祉・地域政策(特別養護老人ホーム建設や提携、障害者作業施設との協力、ヘルパー養成、癒しの農作業)を都市と農村の協同取り組みで実現をめざします。
  5−7.食の問題の解決、食文化の研究
 
1) 食料自給率向上の研究、遺伝子組み換え食品、世界的な飢餓の克服等、多様な食の課題の解決を模索します。
  2) 地場主義(地域で出来たものを食べる)、トータル主義(全部食べる—大根なら根も葉も)、抑制主義(腹8分、飽食等の見直し)等の評価を行い、食生活・食文化の見直しと食育を進めます。
  5−8.食の安全性を高める表示・情報開示による信頼性向上
 
1) 生活者のニーズにあった有機栽培表示の認証と情報公開を進めます。
  2) 農薬削減プログラム(生産者課題と消費者課題、加工・流通者課題)を実現していきます。
  5−9.物流改革を通じた個人対応型無店舗事業の深化
 
1) 青果のコールドチェーンシステム化を実現します。
  2) インターネットによる生活情報ネットワークの整備と電子産直システム、サイバー市場等の可能性を追求します。


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