「蛇篭」3基の引き揚げで13匹のうなぎを確認! 生態解明、資源回復への新たな一歩

2013年9月24日

パルシステム連合会は、産地とともに、うなぎの資源回復に向けた取り組みのひとつとして、鹿児島県南部の河川に、うなぎがすむのに適した「蛇篭(じゃかご)」の設置を行っています。9月17日(火)に第1回目の引き揚げを行い、多様な成長過程のうなぎが生息しているのを確認しました。

蛇篭の引き揚げ作業の様子

組合員カンパとパルシステムの支援金で応援

パルシステム生活協同組合連合会(11会員・会員総事業高1,930億10百万円/会員生協の組合員総数137.8万人)は、うなぎの資源回復に向けてさまざまな取り組みを行っています。2013年7月には売り上げの一部を支援金とするほか、「ニホンウナギの資源回復のためのポイントカンパ」を2014年3月まで組合員より募集しています。これらの支援金は、鹿児島県・大隅(おおすみ)地区養まん漁協とともに2013年4月に設立した「大隅うなぎ資源回復協議会」にて使途を検討し、うなぎの放流事業、うなぎのすみやすい河川の整備事業や、乱獲および密漁防止の広報事業などに充てられます。

近年、うなぎはその資源量が大きく減少しているとされ、産地はもちろん、価格高騰などによる消費者への影響も大きくなっています。パルシステムは、食を守る責任のある立場としてこの問題をとらえ、養殖・漁業者や行政、研究者とともに、食文化を守りながら資源回復に努めることを決めました。食文化を絶やさないためには、資源の守り手を担う産地の存在も欠かせません。限りある資源を大切にいただきながら、資源回復のための方法を考えていきます。

黄ウナギと銀ウナギ用、2種の蛇篭を設置

うなぎの生態には、まだ解明されていない点が多く残されていますが、海で生まれ、川にのぼり、再び海に戻る回遊魚です。海で卵からふ化し、長旅を経て河口域で透明な稚魚「シラスウナギ」から子どもの「クロコウナギ」となって、川をそ上します。「黄ウナギ」と呼ばれる時期を数年、淡水域で過ごした後(※)、つやつやとした黒味を帯びた体色の「銀(親)ウナギ」となって川を下り、海に出ます。

(※)海や汽水域で過ごすうなぎもいます。

今年8月24日に、鹿児島県南部の河川にて、上流域と下流域の2地点で各2基(計4基)の蛇篭を設置しました。設置前には河川の資源調査を行い、うなぎのえさとなるカニや、上流付近ではうなぎの生息も確認されました。蛇篭は小さめの石を詰めた「黄ウナギ」用と、大きめの石を詰めた「銀ウナギ」用に分けています。

<蛇篭の設置>2013年8月24日(土)

(1)蛇篭に入れる石を、河川に落とす

(2)石をボートに積む(下流域)

(3)蛇篭の中に石を詰める

 

クロコに銀、多様な成長過程のうなぎを確認

第1回目の蛇篭引き揚げは、台風18号の余波が心配されるなか9月17日(火)に行い、3基を確認しました。上流2基には体長80センチ超の黄ウナギやクロコウナギを含む計6匹、下流1基には黄ウナギと銀ウナギが合わせて7匹と、全部で13匹ものうなぎがすんでいました。

今回引き揚げられたうなぎは研究者によって年齢や胃の内容物などが調査されます。なお蛇篭の引き揚げは、効果を測定し考慮しながら、今後も月1回のペースで行う予定です。

<第1回蛇篭の引き揚げ>2013年9月17日(火)

引き揚げた蛇篭の中を見る調査関係者

石を取り出した蛇篭の中のうなぎ

今回見つかったうなぎの一部

【参考】

うなぎ支援金533万円を「大隅うなぎ資源回復協議会」へ送金

うなぎの資源回復に、手を携えよう!(産直いきいきコミュニティ内)

「大隅産うなぎ蒲焼」(パルシステムの商品)