-Story-3つの物語
ポークウインナー編

無謀な挑戦!ど素人が「無塩せきのハム・ソーセージを」

商品開発が始まったのは1970年代のこと。ハム・ソーセージは添加物を使うことが当たり前だった時代です。「極力、添加物に頼らないハム・ソーセージ」への組合員の期待が高まるなか、どこも引き受けないならば自分たちで作ろう! と設立されたのが現在の山形事業所でした。

ハムもソーセージも一度も作ったことのないいわば「ど素人」が、その無知ゆえに、食品メーカーが無謀だと断った商品開発に着手してしまったのでした。

この商品ができたのは組合員がいてくれたから

「必ずできる」と信じて疑わずにスタートしたものの、技術も機械もなく、結着をよくするリン酸塩を使わないとなれば形がまとまるわけもなく、商品開発は大失敗の連続でした。『ポークウインナー』の場合、羊腸に詰めたときのねじりが甘く、最終的にとてつもなく長い1本のソーセージになってしまったことも。しかし、そんな大失敗も、切って袋に詰めれば組合員は買って応援してくれたというから驚きです。

他の食品メーカーにはなくて、唯一パルシステムだけがもっていたもの。それは、失敗しても利用して支えてくれる組合員の存在でした。

ふつうの中の最高、最高の中のふつう

現在の『ポークウインナー』とほぼ変わらない品質の商品ができ上がったのは1999 年に入ってからのこと。ドイツから最新の設備などを導入したこともあって、肉の結着力を引き出し、パリッと食感よく仕上げることができるようになりました。

味わいのコンセプトに掲げたのは、「ふつうの中の最高、最高の中のふつう」ということ。毎日食べられるいつもの味。しかし、毎日食べても飽きない味を。こうして、年間約600万パック(シングルパック換算)利用される大人気商品がようやく完成したのです。

「ウインナーといえばこれ」世代を超えて愛される商品へ

2017年4月、『ポークウインナー』は組合員の要望にこたえ、「たん白加水分解物」を抜いてリニューアルを行いました。この際、味の見直しを図ってはという声も聞かれましたが、パル・ミートはあえて、「味は変えない」ことを選択しました。「パルシステムのウインナーはやっぱりこの味だよね」と、おじいさんもお母さんも子どもも、みんなにとっていつまでも共通する味でありたいと考えたからです。

世代を超えて愛される商品へ。そしていつか、添加物に頼らないウインナーこそが当たり前の世の中になるように。ポークウインナーの壮大な挑戦は、今も続いています。