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生・消協議会「食と農セミナー 地域づくりシンポジウム」を開催しました

2003年7月29日
生活協同組合連合会
首都圏コープ事業連合

 生活協同組合連合会 首都圏コープ事業連合(8会員・会員総事業高1,317億円/会員生協の組合員総数70万人)の産地と生協、生協組合員でつくる首都圏コープ生産者・消費者協議会(112団体)は、7月26日(土)午後、東京文京区の文京シビックホールにて、「2003年度第1回食と農セミナー 地域づくりシンポジウム」を開催しました。

 当日は、生産者50名、消費者である生協組合員50名が参加、首都圏コープグループの「新農業事業」のもとで作られた地域づくり協議会や交流協議会について、産地の現状を持ち寄り、これからの活動に生かすべき課題について、パネルディスカッションを交えて話し合われました。


1.開会挨拶


 シンポジウムの開催にあたり、主催者を代表して挨拶に立った生消協議会副代表幹事の米山けい子さんは、「日本の農業が直面している、食糧自給率の低下や後継者問題を含め考えていくなかで、生産者と消費者が一緒に考えていく機会としてシンポジウムを開催します。最近では雑誌で"カドミウム汚染"が報じられたことや、食品安全基本法の問題があるなかで、生産者と消費者の協議会として、実りある話し合いが行なわれ、日本農業、生協産直が前進することを期待します」と述べました。

 連合会の若森資朗専務理事は挨拶のなかで、「日本全国で地域が解体していく状況のなかで、生協産直がモノとモノのやり取りを越えた交流になってきたか」「第一次産業〜農業を通じた自然との共生が育成されない限り、病んでいるいまの状況を是正できないのではないか」と問題提起し、シンポジウムのテーマである地域づくりについて、「私たちの力はまだ弱いが消費者と生産者が携えて、仲間づくりできる基盤づくりを強め、地域づくりに向かって力強く頑張っていきたい」と挨拶しました。


2.協議会産地の取り組み報告

 シンポジウムは最初に、産地の取り組み報告として、「ささかみ食料・農業推進協議会」石塚美津夫さん、「首都圏コープ十勝圏交流協議会」五十川勝美さん、「小田原食と緑の交流推進協議会」斉藤文子さんよりそれぞれ、これまでの取り組みの報告が行なわれました。


 ささかみ食料・農業推進協議会の石塚美津夫さんは、「首都圏コープとの交流は25年前から始まりました。米の統制下にあった当時は、簡単には産直ができなかったことから"心の交流"から始まった歴史でした。2000年以降は、伝統文化の交流や体験、生き物観察を加え、交流が広がってきました。同時に産直品の共同開発として、協議会の論議を通して豆腐工場が完成しました。つくったものを売るというのではなく、どういうものをつくれば受け入れられるかに至ったのは協議会の成果です」と力強く報告しました。

 北海道から十勝圏交流協議会の五十川勝美さんは、「北海道は遠隔地の問題として、モノだけの取引という形が続いてきました。生産現場がどのように行なわれているか、知ってもらえる機会がなかった」とこれまでの問題点にふれ、四国や九州の産地でも同じ思いを持っていたことから、「生消協議会のなかでどうフォローしてすすめていくか」、「十勝全体で交流できないか」を起点に、本州とは違う農業の形態を分かってもらうという十勝圏交流協議会の発足について報告しました。

 小田原食と緑の交流推進協議会からは、神奈川ゆめコープ理事の斉藤文子さんが「地元の神奈川県では、環境悪化や農業の荒廃がすすむなか、県内産直をどうするか」が課題であったと述べ、「生産者と消費者が同じ生活者の視点で、“暮らし課題解決”“地域づくり”をキーワードに、都市と近郊産地との交流としてスタートしました」と同協議会のねらいについてふれ、今後に向かって「互いに無いものを補い合う関係にしたい」と抱負を語りました。


3.パネルディスカッション

 産地からの取り組み報告を受け、後半のシンポジウムでは、協議会産地の取り組みを報告した三人の報告者に加えて、小田原食と緑の交流推進協議会から生産者幹事の長谷川 功さん(小田原ジョイファーム代表)、生消協議会より消費者幹事の米山けい子さん、連合会より常務執行役員の山本伸司商品統括本部長がパネラーとなり、コーディネーターとして秋田県立大学助教授の谷口吉光さんの進行でディスカッションが行なわれました。


 連合会の山本伸司商品統括本部長は、首都圏コープグループの産直交流で“ささかみ方式”として原点となった新潟県笹神村との交流事業の到達点にふれながら、「日本の典型的な農村である笹神が元気になることは大変大きな意味があります。単なる交流ではなく、長期的な観点に立った生産者と都市消費者の交流が求められており、農業体験を含めて新しい発見と生き方がないと続かないのではないか」と問題提起しました。

 小田原食と緑の交流推進協議会の生産者幹事である長谷川 功さんは、「実際にものを生産し、将来への展望につないで行きたいが、食べる側(消費者)とつくる側(生産者)、そこに専門的な媒介が必要であり、交流事業の課題がある」と、今後の課題にふれました。


 生消協議会消費者幹事の米山けい子さんは、「私たちの課題は“地域”であり、生消の交流を通じていろいろな地域を変えていけたら」と抱負を述べると共に、「交流事業と生協事業がどう関連していくか」と課題を述べました。

 ささかみ食料・農業推進協議会の石塚美津夫さんは、生産者と消費者をつなぐ交流事業の媒介としての機能について「次のステップに向けて現在と違う仕組みが求められている」と、現在の生産者、消費者組織と別の組織の必要性にふれました。

 これからは「持続型環境のための消費」として、「自分たちが選択して消費していく」ことにつながっていくかとのパネラーの問題提起に、参加した会場の生協組合員からも「ファンクラブをつくっての交流事業」や「地域(産地)が全部背負い込むのではなく、消費者と生産者が互いに楽しみ合う関係に持っていくことだ」とした熱心な意見が出されました。

 もう一つの課題として、より多くの人たちの参加、より長い交流として生消交流が発展していくために、どういう内容の交流をつくっていくべきか、コーディネーターの谷口助教授より課題提起があり、ささかみの石塚美津夫さんより一つの事例として、いま笹神村では「何の変哲もない地元の環境を見つめ直し、地元の人々と都市の消費者を含め一緒に歩くフィールドワーク“地元学”に行政も含めてこの8月から取り組んでいく」ことが報告されました。

 最後に谷口助教授は、「地域協議会の動きは日本農業再生の流れ。日本農業がこのまま崩壊してなくなるのではなく、何れ再生の動きに向かうなかで、農から離れた人たちが農に戻る道筋であり、目標なき歩みのなかで一歩一歩確認しながら、生協産直から21世紀再生に向かう一歩でもあるのではないか」と語ると共に、課題として「(協議会を通した都市と農の結びつき)ソフトを増やして事業に結び付けられるか」、「仕事づくり」、「地域づくりへの貢献」の三つを挙げ、生協産直を基にどうつくりあげていくかと三時間に亙ったシンポジウムを結びました。

*「食と農セミナー 地域づくりシンポジウム」について
 首都圏コープ事業連合はこれまで、生協組合員の産地見学を受け入れる産地と交流協議会を設けたり、生産者と消費者の産直交流を基に、産地と首都圏コープだけでなく、関係行政やNPOなど他団体とも一緒になって地域づくりを考え、取り組んでいく場としての協議会づくりに積極的に行なって来ました。今回のシンポジウムでは、そうした交流のメリット、デメリットについて話し合い、今後の生消の交流の発展を考える場として開催しました。

*首都圏コープグループの「新農業事業」について
 首都圏コープ事業連合では、農業基本法並びにJAS法の改正にともなう農業環境の変化の中、食料自給率を高め、持続可能な地域資源を循環させる環境保全型農業を推進するために、2000年3月、連合会理事会で「首都圏コープグループの食料・農業政策」を策定しました、
 この政策は、組合員のくらしのあり方を見直し、さらに生産者、消費者、加工業者、生協のコラボレーションで環境保全型農業の確立をめざすものです。
 「新農業事業」は、「首都圏コープグループの食料・農業政策」を実現していくものとして、(1)生産と消費の関係を超えた新しい「事業モデル」の創出、(2)循環型農業に向けた新しい「社会基盤」づくり、(3)生産者と消費者の新しい「参加のデザイン」の確立に向けた農業事業をすすめていくものです。
 各地に広がりつつある「地域づくり協議会」や「交流協議会」は、首都圏コープグループのすすめてきた生協産直の生産者と消費者の事業と交流を基に、交流活動の次の本格的展開に向けた活動をすすめるものとして取り組んでいます。

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