
パルシステム土作り学習会・おいしさプロジェクト
2006年度の実験総括と今後の方向性について
1、「おいしさ追求プロジェクト」の実施と供給に向けた検討
・生消協とジーピーエスの共催
・農薬削減プログラムと同様に生産者消費者協議会野菜部会を中心に産地代表者とジーピーエス、組合員〔サポーター〕により
@美味しい品種、栽培方法の開発
A新品種の試食、食べ比べ、栽培実験
B糖度、酸度、栄養化などの表示についての検討を目的にパルシステムならではの美味しい野菜の供給を目指す。
また、土壌検査とリンクして美味しい野菜作りの土壌基準、処方箋をつくる。
2005年度葉菜部会で実験をスタート。
2.土作り学習・おいしさプロジェクトのねらい
@経験と感による土作りから
科学的データに基づいた土作りへ
・植物の光合成、栄養吸収、細胞経験のメカニズムを理解して、各養分の働き、吸収のしくみを理解した土作り。
A硝酸態窒素削減の取り組みを踏まえて
・過剰施肥を是正し適正肥料で育てた、結果あくのない野菜ができあがった。硝酸態窒素削減を美味しい野菜づくりに発展させる。
・窒素以外の微量要素もコントロールしていく。
3.土作り実験の仮説
@土壌分析により、バランスの良い土作りを行えば健康な野菜ができる。
A根を充分に張らすこと。
根が充分に張った野菜は美味しい。
B農薬に頼らず、土作りにより植物の力で病害虫を克服できる。
C栄養が豊富な作物ほど美味しい。
化学肥料より有機質肥料を使ったほうが美味しく栄養価が高い
《無機窒素より有機態窒素のほうが炭水化物の生成量が大きい・炭水化物の含有量が多いほどアミノ酸が多い》
D堆肥の効果を最大限に発揮する農法が可能。
4.実験圃場の計測・分析 2006年度 谷田部産直部会で実施

左から、慣行・土作り・太陽熱
生育状況の調査データ採取はジーピーエスで担当。
実験農場、外見からはキャベツが同じように生育している。
■根の計測調査
根の成長に大きな差がでている。
土作りと太陽熱の土壌 従来の農法


根の長 さ根毛の数に大きな差がでている。根こぶの被害
定植20日後の計測データ
・ 外見は同じように生育しているキャベツ。実際に根を掘ってみると大きな違いがある。
・ 根にこぶのような塊が多数ついている「根こぶ線虫」の被害に合うと、根の生育はとまり、土中の養分などの吸収ができなくなりやがて枯れてしまう。
・ 一般栽培の多くの農家では土中に土壌薫蒸剤をガス薫蒸して食い止めている。ガス薫蒸の効果は大きく、病害はくいとめられるが、土の中の微生物を死滅させ環境にも大きな影響をもたらす。
・ パルシステムのキャベツ等のエコ栽培では土壌薫蒸剤を禁止している。そのため、パルシステムの産地では、緑肥を使ったり、畑を輪作するなどさまざまな取り組みを行ってきた。
5.土作り実験で分かったこと
・根こぶの発生が抑えられていただけでなく、根が長く張るようになる。根毛の数も多い。(硝酸態窒素削減でも同様の成果)
・外葉の張り、厚みが違う。(植物の栄養形成に差がでる。)
・堆肥による施肥設計と太陽熱(養生処理)の働きの相乗効果により病害を克服している。
・高価な堆肥でなくても谷田部産直部会で製造した堆肥(ジーピーエス青果残渣を活用)で充分にすばらしい効果を発揮している。
・ 微量要素のしくみが重要。
・ 収穫量や製品率は向上した。
6.太陽熱の新たな効果《養生処理》
・除草効果《除草剤削減》土壌殺菌《土壌消毒剤削減》以外に
・堆肥のホウセン菌の働きを最大限に発揮することが分かった。ホウセン菌は土中の有害微生物の働きを抑制する。
・十分に熟成した堆肥と太陽熱処理をあわせることで化学肥料を大きく上回る効果が期待できる。⇒他の作物への応用。
太陽熱消毒の技術
播種前にマルチを張ることにより、地熱を高温にして、除草と土壌線虫などを防除します。効果は高く評価されている。
近郊産地では10年前から人参等で全生産者が取り組んでいる。

7.食味の評価と科学的分析 栄養分析と感能検査
目指すべきは大半が美味しいということ
(女子栄養大学と提携して協同プロジェクトの提案)
@科学的根拠・数量的根拠のある美味しさの基準づくり(美味しい品種と普通種の賞味比較、美味しく感じる内容の検証)
A各栽培実験結果の分析、データの考察
B食育事業との連携(子供が喜ぶ食べ方・子供に沢山野菜を食べさせる工夫etc)
C作目別に美味しさの指標作り検討、食味官能検査の正しい方法の指導
栄養分析(女子栄養大学)
@栄養分析では五訂との差はあまりない。
AB−カロチンは全体的に高い。
ほうれん草

小松菜 
食味官能試験(71名)
@A小祝式、谷田部ではほとんど差がなく高い評価であった。
Aほうれん草、小松菜とも同様の成果。
⇒味の向上でも今回の試験結果は良い評価が得られた。

8.2006年度以降の取り組み
今回の実験及び小祝塾の成果をいかして
@各産地で課題を決めて、課題ごとに施肥設計を実施する。産地の課題は各部会で決定。
A土壌分析の手法を産地に定着させるドクターソイルを活用した土壌分析。講習会の実施。
B土壌分析により処方箋の策定。
C秋に各産地の栽培実験の発表会及び、検討会を実施する。
D緑肥の活用と組み合わせる。
おいしさプロジェクトの方向
美味しい品種、栽培方法の開発
@新品種の試食、食べ比べ、栽培方法の違いによる食味の違いを実験。糖度、酸度、栄養化などの表示についての検討。(X-Cの含有量試験は一部実施)
A以上を実施し、パルシステムならではの美味しい野菜の供給を目指す。また、土壌検査とリンクして科学的検証を行いながら美味しい野菜作りの土壌基準(施肥基準)、処方箋をつくる。
9.産地の課題とテーマ
根菜部会より栽培実験の報告会を秋に開催
@佐原:秋冬人参にて太陽熱実験を行いたい(土壌分析から施肥設計まで)
A茨城産直:秋冬人参を太陽熱消毒を行わない施肥設計での実験。
B谷田部:秋冬人参での施肥実験。
C沃土会:春人参の肥料面を含めた実験。
Dたまつくり:農薬に頼らないセンチュウ対策実験でのごぼう・さつまいも。
E村悟空:秋冬人参でえん麦と太陽熱殺菌を含めた上での施肥設計。
F八街産直会:じゃがいものソウカ病対策。
G和郷園:春人参のとろけに対しての施肥設計と割れに対しての施肥設計。
H海上:じゃがいものソウカ病対策。大根の根腐れ線虫対策の施肥設計。
I常総ひかり:人参の太陽熱消毒での線虫対策の強化。
J栃木元気会:玉ねぎのアミノ酸のぼかし肥料を利用している。糖度を乗せる、土壌病害の対策を実験していきたい。
Kあゆみの会:露地での大和芋の安定栽培。堆肥の安定化。水(アルカリ水)との組み合わせ。
10、緑肥と組み合わせた土作りも実施
・緑肥とは、栽培して土にかえすこと、堆肥と同じような働きをする植物。土壌における養分供給や、農薬に頼らない病虫害対策としてパルシステムの産地で実施。
・緑肥を育てている間、その畑では野菜を作ることはできない。時間も手間もかか る。
・化学肥料や農薬を使っても土の中の微生物や有用菌の力が衰えてしまう。手間がかかるが、その手間自体が農業の仕事。
・「緑肥をすきこむ前と後では、畑の土のやわらかさが全然違う」病虫害を減らす以外にも「土を休ませて肥料の偏りをなくす」「土の保水力を高める」などの利点が期待される。
食育クイズより
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各産地の緑肥導入状況。
10、まとめ
農薬、化学肥料削減からおいしい野菜作りへの転換
@パルシステムの産直青果は農薬削減で高いレベルに到達した。エコ、ふーど農産物。
A安全、安心、環境から「味の濃い、おいしい野菜、果樹つくり」が可能(これまでの技術を発展させることで)
B農薬削減と同様、土作りも科学的根拠のある設計を行う。
C植物の根を十分にはらし、自然の力でじっくり生育した野菜、果樹つくり。
D堆肥の効果を最大限に発揮させ、バランスの良い土からできた栄養豊かな農産物を目指す。
⇒パルシステムならでは、おいしい農産物つくり。
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〓施肥前の分析値〓 |
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〓施肥後の補正値〓 |
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診断項目 |
測定値 |
下限値 |
上限値 |
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耕 耘 深 度 |
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比重 |
1.2 |
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10cm |
20cm |
30cm |
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CEC |
17.3 |
20 |
30 |
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EC |
0.079 |
0.05 |
0.3 |
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pH(水) |
6.0 |
6 |
7 |
6.7 |
6.5 |
6.2 |
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pH(塩化カリ) |
5.4 |
5 |
6 |
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アンモニア態窒素 |
0.5 |
0.8 |
9 |
11 |
7 |
4 |
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硝酸態窒素 |
0.5 |
0.8 |
15 |
0.5 |
1 |
1 |
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可給態燐酸 |
15 |
20 |
60 |
28 |
24 |
19 |
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交換性石灰CaO |
200 |
194 |
291 |
282 |
254 |
227 |
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交換性苦土MgO |
8 |
35 |
52 |
53 |
38 |
23 |
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交換性加里K2O |
50 |
29 |
47 |
57 |
55 |
52 |
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ホウソ |
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0.8 |
3.6 |
3.4 |
2.3 |
1.1 |
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可給態鉄 |
2.0 |
10 |
30 |
25.2 |
17.5 |
9.7 |
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交換性マンガン |
1.0 |
10 |
30 |
22.1 |
15.1 |
8.0 |
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腐植 |
|
3 |
5 |
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0.0 |
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塩分 |
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0 |
0 |
|
0.0 |
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◆各産地で、土壌分析を実施、施肥設計のシュミレーションを行い、処方箋を作ってみることからスタート