Theme-3 「信頼と安全への取り組み」

信頼をベースにした関係をさらに前進---産直のいま

 作っている側とそれを消費する側。お互いの顔が見えるという“信頼”が、産直の安心感を支えていました。これからはその信頼関係を一歩進め、畑の状況や栽培内容をすべて明らかにしていきます。さらに、産地の取り組みを客観的に評価する場を設け、生産者と消費者が一緒になって安心感を築いていきます。

有機認証取得に向けて

 茨城ギルドの現地検証安全な農産物を選びたいという世間の動きに沿うように、市場では<有機栽培><無農薬>などの表示がもてはやされ、その基準が非常にあいまいになっていました。この状況を受け、2000年6月、農林水産省は<有機農産物>をはっきりと定義づける新JAS法を施行。これにより、第三者による認証を受けない限り、<有機>と名乗ることができなくなりました。 ジーピーエスでは、これまで進めてきた環境保全型農業への取り組みに、客観性や公正性を持たせるプラス材料であるととらえ、有機農産物の認証取得に向けて産地を積極的に支援しています。

 有機認証を取得するためには、産地に「生産工程管理責任者」「格付け責任者」をおき、組織で栽培管理を行わねばならず、どちらの責任者も講習会を受けることが義務づけられています。また、認証取得のためにかかる手間と費用はかなりのもの。そこで首都圏コープ事業連合とジーピーエスは、産地の認証コストの負担を低減するために、認証団体と提携してこれらの講習会を開催。講習会は2日間にも及ぶ長くてハードなものですが、これまでに300名以上が受講修了証明を取得されました。  またジーピーエスでは、認証に向けた記録作成やデータ管理のお手伝も積極的に取り組んでいます。2001年7月現在のところ、16産地が認証を取得し、“有機JASマーク”が表示された農産物を供給しています。<写真右上:茨城ギルドの現地検証>

公開確認会

公開確認会の風景 産直産地ではいま生産者の手によって、自分たちの栽培した作物について、畑の立地や栽培方法、農薬の仕様や土づくりなど細かい記録づくりが着々と進められています。一方で、首都圏コープ農薬削減プログラム推進会議が主体となって、本当に産地から正確な情報が提出されているかをチェックし評価を加える「公開確認会」が始まっています。各地の公開確認会の会場では、生協職員、組合員、他の産地団体、専門の研究家などが出席するなか、厳しくも公正な監査が行われています。これは、これまで“信頼”をベースに培ってきた産直関係を、具体的なデータや書類によって第三者にも確認できるような関係に一歩前進させるためのもの。その背景には、38年ぶりのJAS法の改訂で農作物の表示について厳しい基準が設けられ、栽培に関するさまざまな情報をすぐに開示できるよう産地データの整備が急務となったこともありますが、作物や生産者を評価する客観的なものさしを持ち込むことによって、より強い信頼関係を築く契機になるといえるでしょう。
<写真上:公開確認会の風景>

大紀コープファーム(奈良県)

オリジナル有機質肥料の設計と栽培管理に高評価

 梅生産者柿・玉ねぎ・びわ・梅の産地である奈良県・大紀コープファームは、安全で環境に配慮した農業に定評があります。最大の特徴は、肥料メーカーと共同設計した3種類のオリジナル有機質肥料で土づくりを行っている点。また、日頃から書類による栽培管理に力をいれてきたため、「公開確認会」に向けてゼロから資料を作る必要はなかったといいます。
 2000年11月に参加者80名で行われた「公開確認会」では、柿・梅・玉ねぎについて監査が行われ、有機認証予定栽培園地についての資料もビデオ紹介をまじえて公開。確認会では、ファーム独自の作付けカレンダー(栽培計画、圃場台帳、使用資材記録)の記帳の取り組みが特に高い評価を得ました。生産者にとっては、肥料の効果やコストを改めて見直したり、第三者にも成分がわかるように書類を作るなど、これまでの栽培を見直す好機となったようです。<写真右上:梅生産者>

JA つくば市谷田部産直部会(茨城県)

農協主体の堆肥作りで、環境に配慮した農法を推進

なす生産者 昨年の「茨城県環境保全型農業推進コンクール」での最優秀賞に続き、2001年にも「環境保全型農業推進コンクール」で優秀賞を受賞するなど、環境に配慮した土づくりや農法に高い評価が集まっているJAつくば市谷田部産直部会。2001年6月には、一般参加85名、地元生産者65名という規模で「公開確認会」が行われ、盛りだくさんの内容で詳細にわたり情報が開示されました。当日はトウモロコシ、ねぎ、小松菜の圃場見学のほかに、生分解マルチ・防虫ネットなど先進的な取り組み事例も報告。野菜残さを搬入しての生ゴミリサイクルについては堆肥場建設などの改善点が指摘されたものの、農協をあげての環境保全型農業への支援体制が高く評価されました。農協が主体となって堆肥作りから散布まで取り組む体制、田んぼへの農薬の空中散布を廃止するよう(現在は休止中)地元消費者とも力を合わせて行政にはたらきかけている姿勢は、非常に評価できるものです。
<写真右上:なす生産者>