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社会貢献活動レポート

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第66回 パルシステムの農作物が生態系を豊かに COP 10でパルシステムの取り組みを紹介


連合会 食料農業政策室
原 覚俊さん

2010年を振り返ると「生物多様性」という言葉を聞く機会が増えたのではないでしょうか。10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP 10)をめぐる一連の報道で、世界各地に生息する生きものは貴重な資源であり、医薬品をはじめ、さまざまな製品の原料となっていることなどは記憶に新しいと思います。
パルシステムも、この会場で同時開催された生物多様性交流フェアで、産直産地と協力して取り組む生物多様性保全活動を紹介しました。産直産地の、農薬や化学肥料をできるだけ使用しない農法は生物多様性保全につながっていますが、パルシステムはその農法の応援や、生産者と協力して産地の生きもの調査や観察会の開催など、さまざまな活動を行っています。交流フェアでの活動紹介の模様を報告します。

「本当に田んぼにいるの?」水槽をのぞきこむ子どもの姿

「こんな生きものが、本当に田んぼにすんでいるの?」パルシステムのブースでは、そんな子どもたちの声が何度も聞こえました。

COP 10は、国際会議では「最大規模」ともいわれるほど、多くの関係者が集まりました。その会場の隣で「生物多様性交流フェア」は開催されました。国内外の政府や自治体、国際機関、NGO、NPO、企業などの200を超える団体が出展し、生物多様性に関する取り組み、アイデアなどを発信しました。

パルシステムグループも、そのひとつとしてブースを出展。生産者との協力で実施している田んぼの生きもの調査や、各会員生協の活動などを報告するパネル展示のほか、はさかけしている稲の再現や、コイやドジョウといった田んぼにいる生きものを実際に展示することで、くらしと直結する生物多様性を感じてもらいました。

ブースには各国の政府や企業の関係者や学生、地元住民、親子連れなど、幅広く来場。なかにはパルシステムの産直産地や友好関係にある韓国の生協などからも来訪がありました。なかでも来場者の目を引いたのが、田んぼの生きものの展示です。

首都圏と地方でも変わる生きものへの理解

田んぼの生きものを展示した水槽に見入る子どもたち

田んぼの生きものを展示した水槽に見入る子どもたち

生物多様性交流フェアを訪れた、産直産地・ちば緑耕舎のみなさん

生物多様性交流フェアを訪れた、産直産地・ちば緑耕舎のみなさん

生物多様性交流フェアでのパルシステムブース

生物多様性交流フェアでのパルシステムブース

水槽の生きものを見ながら「昔はこんな生きものが田んぼによくいたんだよ。懐かしいなあ」と話すのは、高齢の来場者でした。「本当にいなくなっちゃったよなぁ」と寂しげに語るその言葉は、現在の日本の農業が立たされた状況を示しています。農薬や化学肥料に頼る栽培は、農地に生息する作物以外の生物を排除しようとする考えから成り立っています。国民への食料供給を満たすため、農業にとって戦後は、増産が最大の課題でした。それを追い求めることで、害虫だけでなく、田んぼや畑に住んでいた多くの生物が姿を消していったのです。

しかし、パルシステムの産直産地の田んぼでは、ドジョウやコイといった魚が田んぼへ戻りつつあります。それらを食料にしようと、ハクチョウをはじめとする数多くの冬の渡り鳥が田んぼにやってきます。パルシステムの産直産地では、よく見られる光景です。

生物多様性交流フェアでの出展内容は、同時期に各地で開催された会員生協の商品展示会でも展示されました。「名古屋はまだ周辺地域に豊かな自然や農地が残っています。首都圏の都市に住む人々は、さらに都市と農村の距離を感じていました」と話すのは、展示に携わったパルシステム連合会食料農業政策室の原覚俊さんです。

「名古屋では、田んぼの生きもの展示を見た親子が『このあいだタナゴを釣ったね』といった会話がありました。でも首都圏では親が『田んぼにコイやドジョウなんているはずがない』『トキは分かるけどドジョウの生きる田んぼがなぜいいの』と話しかけられることがよくありました」。自然や田んぼに触れる機会の少なさを示すような言葉をよく耳にしたと言います。

生産者も「知る」ことで自信に「農のめぐみしらべ」

化学肥料や農薬を使用しないことで、パルシステムの産直産地にはかつて見られた生物がどれだけよみがえっているのか――。そんな目的でパルシステムでは2009年から「農のめぐみしらべ」をスタートさせました。

対象となる生きものは、日本各地で絶滅のおそれがあるといわれているホタルとメダカです。これらの分布や生息状況を産直産地と協力して調べています。09年の調査では、青森から神奈川にかけた8産地でホタル38カ所、メダカ10カ所の生息が確認できました。

「『農のめぐみしらべ』は、生産者やパルシステムの職員に農地の生物多様性を知ってもらうための取り組みでもあるのです」と原さんは目的を話します。産直を「安全・安心でおいしい作物を効率的に生産する」ことだとすると、海外からオーガニック食品を安く輸入すればいいかもしれません。でも農業は、生物多様性を育み、地域の生態系の一部を構成する役割も果たしているのです。「メダカやホタルは、パルシステムの産直に取り組む生産者にとって当たり前にいるものかもしれません。生産者のみなさんにはぜひ、農業が生物多様性の保全という大きな役割を果たしていることを知ってもらい、職員には胸を張って農作物をおすすめしてもらいたいのです」。

「生物多様性保全「経済モデル」確立 パルシステムらしい活動

生物多様性交流フェアや商品展示会の出展、「農のめぐみしらべ」といった生物多様性保全の取り組みを通じて原さんは「小売や流通業でない、生協ならではの強み」を感じたといいます。「植樹活動に熱心な企業があったとしても、それは本業のビジネスと切り離した活動としてとらえているケースがほとんどです。それに対しパルシステムは、たとえば北海道野付漁協の植樹活動のように森を守ることで川や海を守り、ホタテやサケを育み、パルシステムへ供給するという生物多様性を育む経済モデルが確立されています。これは全国的にも珍しい活動だと思います」。

パルシステムでは、生物多様性を育みながら、その恩恵を産直品や産直品を原料とした加工品という形で受けています。それと同時に、心の豊かさももらっているのではないかと原さんは語ります。自分が食べるひと口が、いろんな生物が生きていることにつながっていると考えると、確かにちょっとうれしくありませんか?


*本ページの内容は2011年1月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。

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