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社会貢献活動レポート

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第53回 生産者、消費者、地域が一体の産地活性化の起爆剤「パルシステムの「食と農の推進協議会」パルシステムの「食と農の推進協議会」」


▲「宮城みどりの食と農に関する協定書」調印式、並びに「宮城みどりの食と農の推進協議会」設立総会の様子

秋田県立大学 谷口吉光教授

JAみどりの髙嶋秀治課長

2009年8月、パルシステム連合会とパルシステム神奈川ゆめコープは、産直産地であるみどりの農業協同組合(JAみどりの)、宮城県大崎市、美里町、涌谷町の6者で「宮城みどりの食と農に関する協定」を締結し、「宮城みどりの食と農の推進協議会」を設立しました。パルシステムは2000年に、JAささかみ、新潟県笹神村(現  阿賀野市)との3者で「食料と農業に関する推進協議会」を設立して以降、各産地と交流強化や資源循環型農業の実現を目的とした協議会を立ち上げ、活動を続けています。「宮城みどりの食と農の推進協議会」は、昨年設立した「花巻食と農の推進協議会」に続き、13番目の協議会です。さらに2009年度は、沖縄県恩納村でも協議会の設立に向けた準備が進んでいます。では、協議会ではどのような活動が行われているのでしょうか。

産直の延長線ではない地域活性化の起爆剤に

みどりの農業協同組合、宮城県大崎市、美里町、涌谷町、パルシステム神奈川ゆめコープ(左端:齋藤理事長)、パルシステム連合会(右端:若森理事長)の6者

「これまでの産直の延長線上として考えるなら、協定を結んだ意味はありません」。「宮城みどりの食と農の推進協議会」設立総会後に行われた記念講演で、秋田県立大学の谷口吉光教授はこう話しました。「地域活性化の起爆剤になるような、解決の糸口としてとらえ、活動すべきでしょう」。

調印式で6者が結んだ「宮城みどりの食と農に関する協定書」には、協議会の目的は「安全で安心な農産物の産直拡大強化とグリーンツーリズムでの新たな人的交流」、さらに「生産者・消費者が一体となった資源循環型・環境保全型社会の構築」とあります。事業では「食料取引の拡大」「資源循環・環境保全型農業の推進」「グリーンツーリズムの創造」などが位置づけられています。

これだけを見れば、協議会は「産直の延長上」と捉えることもできます。しかし谷口教授は、協議会が果たすべき役割のひとつとして「地域にある資源を掘り起こすことによる活性化」を例に挙げました。「産地では当たり前になっていることでも、外部の目からは『宝物』に見えるものがいくつもあります。都市に住むパルシステムの消費者の力を生かせば、新しい産業の創出につながるのではないでしょうか」。


周辺水田もラムサールに登録外部の目で「当たり前」を宝に

JAみどりのは、パルシステムの「宮城ひとめぼれ」の産地として、予約登録米を中心に産直を行っています。供給するお米は「コア・フード」「エコ・チャレンジ」で、減農薬、減化学肥料のお米づくりには積極的に取り組んできました。

背景には、JAみどりの管内における名所のひとつ、大崎市の蕪栗沼があります。2005年には生態系を保護する湿地としてラムサール条約に登録されました。登録された湿地は「蕪栗沼とその周辺水田」。つまり水田も、生態系を守る重要な湿地であると位置づけられているのです。人口湿地である水田がラムサール条約の登録湿地として認められたのは、蕪栗沼周辺が初めてです。

そのため蕪栗沼周辺の水田では、稲刈り後の水田に水を張り湿地を創出する「ふゆみず田んぼ」に取り組んでいます。これにより冬場でも田んぼに多くの生物が育まれ、それをエサとする渡り鳥が飛来します。湿地保全と水田農業の共生へ向けた取り組みは、全国的に注目されています。「地元の人々にとって渡り鳥は当たり前の存在だったのではないでしょうか。それがラムサール条約の登録湿地となったことで、大きな価値を生みました。地域を活性化するには、大きく分けて1.企業誘致、2.公共事業や補助金、3.新産業の創出――の3つがあります。しかし現状を見渡せば1と2に現実性は乏しい。渡り鳥を『宝物』と捉えるような『外部の目線』を利用することによって、新しい産業の創出につなげることは可能と考えます」(谷口教授)。


『うめてば豆腐』『こまち麺』交流から生まれた開発商品も

すでに活動している協議会では、少しずつですが新しい産業の創出が軌道に乗り始めている事例があります。

たとえば、最初に設立された「JAささかみ食料と農業に関する基本協定」では、減反による転作地で生産される大豆を利用するため、豆腐工場を建設しました。これがパルシステムでもおなじみの『うめてば豆腐(ブロー豆腐)』です。

また、今年からは、秋田県で生産される「あきたこまち」を利用した米麺『こまち麺』のパルシステムでの取り扱いが始まりました。これは2006年に設立した「パルシステム・秋田南部圏食と農推進協議会」が協力したものです。

「現在、パルシステムと取引のある商品はお米だけですが、協議会の設立で人の交流も発展させることができました。今後は交流の質をさらに深め、供給もお米以外の産品に広げていきたいですね」と、JAみどりの営農部の髙嶋秀治米穀課長は期待します。

JAみどりのは、パルシステム神奈川ゆめコープと10年にわたる交流が続いています。組合員が産地を訪れる交流は当初、田植え、草取り、稲刈りの農業体験だけでしたが、これらに冬の「蕪栗沼エコツアー」が加わり、年4回開催となっています。現在では年間100名の組合員がJAみどりのへ訪れるようになりました。

JAみどりのからも、パルシステム生産者・消費者協議会(生消協)などを通じ、組合員と交流する場に参加しています。「距離があるので回数は頻繁とはいえませんが、交流による信頼関係は、生産者の意識を高めています。食べる相手が分かるということはこういうことなのかと、改めて感じています」(髙嶋さん)。


地元行政も大きな期待11月には沖縄・恩納村でも

協議会に行政が加わっていることも、髙嶋さんの期待を高めます。「これまで、地方自治体が1つの生協、農協と協定を結ぶことはありませんでした。それだけに地元自治体も、協議会に寄せる期待は大きいと思います」。8月に行われた協定の調印式および協議会の設立総会には、参加した6者とも市長や町長、組合長、理事長といったトップ本人が出席しました。これも期待の現われといえるのではないでしょうか。

パルシステムがこれまで協定を締結し、設立した協議会は、全国13カ所にまでなりました。さらに11月には、沖縄県恩納村で14番目となる新たな協議会の設立も予定されています。生協と農協をはじめとする生産者団体、さらに地域によって地元自治体が連携し、産直産地の活性化をめざした活動が進められています。

協議会の活動内容はそれぞれ異なりますが、「同じ目的に向かった活動を持続的に取り組めること、それだけでも協議会の意義はとても大きいものです」と、パルシステム連合会交流政策課の高橋英明課長は話します。各産地の地域が活性化すれば、パルシステムへ届く商品も充実します。協議会は、遠回りではあっても、着実に産地とパルシステムがともに発展する役割を果たしているのです。


*本ページの内容は2009年10月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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