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ホーム > 社会貢献活動 > 社会貢献活動レポート > 第48回 生産者の暮らしを支え、自給率向上を目指す取り組み
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社会貢献活動レポート

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第50回 組合員手づくりの太陽光パネルで  電気インフラのない地域を支援


▲太陽光発電パネル製作中

ソーラーネット代表の桜井薫さん

太陽光発電パネルは手づくりができるのをご存じですか。パルシステム東京では1999年から、NGO団体「ソーラーネット」と協力し、太陽光発電パネルをつくっています。製作したパネルは、インドネシアやルワンダなど、電気インフラのない地域へ贈られています。ソーラーネットではこれまで、パルシステム東京などの協力により世界300軒以上の家庭へパネルを提供してきました。しかし、単に発電機として活用してもらうことだけが目的ではありません。現地でパネルを生産できるまでの技術を伝えることを最終目標としています。2009年度からは、パルシステム連合会の共同環境推進室も加わりました。今後はエネルギーの自給を考える機会としても活用していく考えです。

2枚(80W)の太陽電池で電灯3つとテレビ1台

(上写真)2009年2月開催。パルシステムの共同環境推進室も参加
(下写真)2008年11月開催。パルシステム東京主催での贈呈式

太陽光発電パネルは、セルと呼ばれるカードくらいの大きさの板を34枚つなぎ合わせて作製します。通常これを2枚1セットで世界各地の電気が通っていない地域へ提供しています。発電できる量は、およそ80ワット。私たちにとっては電球の明かりがひとつ灯せる程度です。「それでもテレビ1台と明かり3つ分の電気量になります。初めて取り組んだのはインドネシア。この国の人々は音楽が大好きなので、うれしそうにラジカセの電源として使用しています」と、ソーラーネット代表の桜井薫さんは話します。

桜井さんがソーラー活動を開始したのは1993年のこと。当時、日本からインドネシアへ原子力発電施設の輸出が計画されていました。単に計画に反対するのではなく、なにか支援できることはないか――。そういう思いで取り組み始めたのが、太陽光発電パネルの提供でした。太陽光発電パネルを購入し、何度か現地へ贈呈していたのですが、十分に使いこなすことができませんでした。「そこで、モノの提供から技術移転へと趣旨を変えたのです」。

とはいっても、桜井さんは太陽光発電パネル製作の技術者ではありません。しかも、現地の人でもつくれるくらいのやさしいノウハウ、かつ価格でなければ、普及の足かせとなってしまいます。桜井さんの試作と失敗の繰り返しが続きました。「当時はあらゆる技術が企業秘密でしたから、とにかくつくってみるしかありません。インドネシアでは『未完の技術を持ってこないでくれ』と言われたこともありました」と桜井さんは振り返ります。「ようやく完成した技術を伝えたとき、彼らから英文で、『成功しました。本当です』と、電子メールが届きました。この言葉は、いまでも忘れられませんね」。


現地での生産体制を確立したい

パルシステム東京が、ソーラーネットとの関係を持つようになったのは、桜井さんが活動を始めてから6年後の1999年でした。以降、太陽光発電パネルづくりの指導や講演、製作機器の提供をいただいています。作製したパネルには最後に、製作に参加した組合員のみなさんの署名をそえています。「作製した組合員さんがいつか現地を訪れ、『私がつくったのよ』『あなたがつくったのか』という交流を実現させたいですね」(桜井さん)。(このパネルは、パルシステム東京の大田センターや江戸川センターにも設置されています)

現在の課題は『届け先』です。国内で海外の支援活動をしているNGOでも、ソーラーネットの活動を知る団体はそれほど多くありません。活動を伝え広げることで、パネルを届けるしくみができていけば、「現地での生産体制の確立」という次のステップに進むことができます。「なぜ、多くのパネルをつくる必要があるのか、それは価格の問題です。パネル作製で使用するセルの価格は、量で決まります。現在の活動規模では、大手メーカーに比べて倍以上の値段になっています。生協の共同購入の発想で、一般の人たちが世界各地の材料を共同購入できれば、現地で購入できる価格まで引き下げられることができるはずです」。


将来像とパルシステムのかかわりについて

桜井さんが思い描く将来像は、世界各地に「エネルギー工房」をつくること。「現在の産業は、主要なメーカーが大きな資本を投下し大量生産しています。これはエネルギーの分野も同様。でも、これからは自分たちのエネルギーも自分たちでつくる時代。『エネルギー工房』ができ、それが横につながれば、はるかに大きなスケールメリットが出る可能性があります。新しい産業のしくみですね。政情に左右されず安定したエネルギーを確保できますし、膨大な雇用の確保にもなります。さらにそれは、エネルギーについて考える教育の機会にもなります。現在は日本からの支援という形ですが、これは将来への出資です」。脱都市依存社会の試金石として、きっと日本にも役立つものになるのではないかと、桜井さんは考えています。「いうなれば『エネルギーのオルター・トレード』です」。

太陽光発電パネルは作製技術が確立されたことで、今後は大きな飛躍が期待できそうですが、桜井さんは「むしろ大変なのはこれから」と言い切ります。「技術の普及には、これまで以上の資金が必要となるでしょう。また、販売して利益を出す段階まで支援しなければなりません。それには、人の思いがこもった、生きたお金が流れるしくみが必要です」。桜井さんは、パルシステムにも、そういうしくみづくりに協力してほしいと期待しています。


各地へ広がる活動の輪  広島には「千羽パネル」も

ソーラーネットでは2009年、原爆死没者慰霊碑が建っていることで知られる広島の白潮(はくちょう)公園に「千羽パネル」の設置を計画しています。作製されたパネルを1枚ずつ千羽鶴のように集め、公園の照明に利用してもらおうという企画です。「原爆が落とされた広島に太陽光発電パネルを設置することは、戦争、核、エネルギー問題など、多くの意味があります。人々が思いをこめてつくった電気で、公園を明るく照らしたいです」(桜井さん)。

このほか国内では、高校の生徒たちが街灯を作製して夜桜をライトアップさせたり、100枚ものパネル製作で4キロワットの電力を発生させ、電力会社への販売を開始するなど、活動が広がっています。海外ではニカラグアで、子どもに太陽光発電パネルの製作を教えるプロジェクトも進行しています。パルシステムの助成で、インドネシア語と英語、日本語によるテキストが完成しました。活動を通し、市民同士が直接手を結ぶ関係を築いていけたらと、ソーラーネットの活動をパルシステムは後押ししています。


*本ページの内容は2009年5月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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