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社会貢献活動レポート

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第41回 次飼料や燃料の高騰、昨夏猛暑も影響『畜産農家を支援するパルシステムの取り組み』


▲搾乳前に牛の乳房を清拭する斎藤さん

▲パルシステム『酪農家の牛乳』
生産者の斎藤新一さん

パルシステムでは1985年から、牛乳の生産者へ「タオルを贈る運動」を実施しています。23回目を迎えた07年度は、11万枚以上のタオルが集まり、今後、各産地へ届けられる予定です。少しでも生産者の方々のお役に立てたら、という思いから始まった運動です。
パルシステムではそれに加え、今回初めて7月2回から5回まで、産直肉・牛乳・たまごの生産者を支援する「畜産生産者応援カンパ」に取り組みます。現在、牛乳をはじめ畜産業を営む生産者のみなさんは、これまでにない危機的な状況にさらされています。その理由は、牛や豚、鶏のエサとなる穀物価格の高騰です。各種報道にもあるとおり、飼料となるトウモロコシや小麦、大豆の価格は、大幅な値上がりが続いています。
タオルを贈る運動で生産者を応援してきたパルシステムが今後、新たな問題に立ち向かう生産者に対し、できることはなにか?埼玉県秩父市でパルシステムの『酪農家の牛乳』を生産している斎藤新一さんから、牛乳生産現場の現状についてお話をうかがいました。

酪農家にのしかかる飼料価格や原油の高騰

斎藤さんのお宅にうかがった日の前日、1頭の子牛が誕生しました。斎藤さんが外出から帰宅したら、もう母牛から子牛の足が出ていたそうです。「急いで母牛を分べん室に移動させて、ことなきを得ました」。斎藤さんがうれしそうな顔で話しをしてくれたのは、このときだけでした。

酪農家をめぐる環境は、もはや笑って済まされる状況にないほど厳しいものになっています。飼料代は、昨年の同じ時期からの比較で1トン当たり7~8千円、値上がりしました。30頭程度の乳牛を飼育している斎藤さんは、1カ月当たり計13トンほど使用します。それだけでも大きな負担増ですが、値上がりしているのは乳牛用の飼料だけではありません。子牛に与えるエサや栄養剤、トラクターやボイラーなどに使用するガソリンなど、あらゆる場面での値上がりが、酪農家のみなさんの頭を悩ませています。

さらに、昨年夏の猛暑も生産者を苦しめました。乳牛が健康であれば、乳の出もよく、品質も安定します。繁殖力も高まり、結果的に効率が高まるのです。「しかし、乳牛も夏バテで乳の出が悪くなり、本格的に疲れが抜けるまでには今年の春先までかかりました。人間同様、乳牛も疲れれば食が細くなります。疲れているときに『エサ食え、乳出せ』では、『ほっといてくれ』と言いたくなるでしょうね」と、斎藤さんは冗談交じりに話してくれましたが、表情には深刻さがにじみ出ていました。


意欲低下で離農も増加それでも品質は妥協しない

「この時期に万が一、品質上の事故が起きたら致命的な状況になってしまいます。だから生産者の現場はみんな、ぴりぴりした雰囲気になっています。この厳しさが続けば、高齢の生産者を中心に離農が続くのではないでしょうか」と、斎藤さんは心配します。

事実、斎藤さんの所属する埼玉酪農業協同組合では昨年、生産者およそ130名のうち10名ほどの生産者が離農しました。埼玉県全体となると80名にものぼるといいます。「知っている例では、高齢の生産者が病気になり、離農しました。病気自体は深刻ではなかったのですが、酪農を続けようとする意欲が失せてしまったようです」(斎藤さん)。

こうした厳しい情勢のなかでも、斎藤さんをはじめとする生産者のみなさんは、品質の高い生乳の生産を維持しようと努力を続けています。「たしかに酪農家のなかには、単に乳をしぼって買ってもらえばいいという考えをもつ方も少なくありません。でもまずは自分たちが『どうにかしよう』という姿勢を示さなければ、消費者には伝わらないのです」と力説します。


生産者の衛生管理を支える「タオルを贈る運動」

なかでも、乳に雑菌が混入したり乳牛が病気にかかったりすることを防ぐ衛生管理は、徹底しています。今回訪問しても牛舎は、特有のにおいがほとんどないくらい清潔でした。「見ず知らずの人の口に入るからこそ、衛生管理は入念に行っています。パルシステムでいただいたタオルも、非常に助かっています」。

搾乳する際、牛の乳頭を清潔な状態にするため、牛乳の生産現場では多くのタオルが必要となります。そこで、家庭で使用される予定もなく押し入れに眠っているタオルを使ってもらおうという目的で始まった運動です。昨年も11万枚以上のタオルが組合員から集まり、そのうち100枚あまりが斎藤さんの手元へ届けられました。「衛生管理上、タオルは殺菌処理しますので、タオルはすぐに悪くなってしまいます。そのため、いただいたタオルは非常に助かっています」。

パルシステムでは、今年も2月にタオルを贈る運動を呼びかけ、23回目となる07年度は2週間の募集期間でタオル11万枚以上、生産者のみなさんへ感謝や激励の気持ちを込めたメッセージが8千通以上集まりました。これまで集まったタオルを合計すると約160万枚になります。

寄せられたタオルとメッセージは今後、斎藤さんの農場がある埼玉県秩父・児玉地区のほか、北海道根釧地区、岩手県奥中山地区のパルシステム産直産地で生乳を生産する酪農家のみなさんの手元へ届けられる予定です。


組合員の応援を糧に

▲組合員から贈られたタオルを手に

埼玉県秩父地区では昨年、産地で生産方法や生産履歴を組合員と生産者が共に公開の場で確認しあう「公開確認会」を実施するなど、組合員との交流を積極的に深めています。「タオルを贈る運動をきっかけに生産者と消費者の交流がさらに深まりました。お互いの考えも理解できるようになったと感じています」(斎藤さん)。公開確認会では、消費者と生産者あわせて110名が参加しました。確認会で知り合った組合員とは現在でも、見学会や学習会などを通じて交流が続いているそうです。

牛乳の流通は戦後の制度を引きずっていることから、生産者と消費者が直接結びつきづらい流通形態になっています。「生産者が消費者である組合員を意識できるという点でも、パルシステムの産直はすばらしいしくみだと思います。お互いを知ることで、少しでも多くの牛乳を飲んでほしいですね」。組合員の応援を糧に、斎藤さんは牛乳をつくり続けています。


コラム
「牛の乳をいただく意味」に立ち返り、
今こそ、牛乳の価値を見直したい

産直牛乳は、大切に乳牛を育て、高品質な生乳を生産するために、搾乳の前に清潔なタオルで乳房をふくなど衛生面も徹底して生産される、まさに生産者の苦労の賜物。湧き出る水と違って、牛乳は牛からいただく「いのち」です。にもかかわらず、市場では特売の目玉商品にされ、「ペットボトルの水より安い」と言われるように、価格を抑えられてきました。しかしこれは、不当に安く売られてきたと言っても過言ではありません。

消費者の牛乳離れにより大量廃棄や生産調整を余儀なくされてきた酪農家は、今度は穀物と原油価格などの高騰で、さらに厳しい状況に追い込まれています。今こそ、「タオルを贈る運動」や交流などで永年築き上げてきた産直関係を、牛乳の価値の見直しに反映させる時ではないかと考えます。ぜひパルシステムの牛乳をたくさん利用して、生産者のみなさんを応援してください。
よろしくお願いいたします。

パルシステム連合会 産直事業部 牛乳担当
田端伸行

*本ページの内容は2008年7月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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