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社会貢献活動レポート

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第40回 次世代へ続く農林漁業を目指して資源循環型の取り組みを支援する『レインボー・パル基金』


【過去の助成での成果例】
(右)産直産地の(農)有機農法ギルドでの休耕田を利用したバイオディーゼル実験のための菜種栽培/(左上)産直産地のタイ・バンラート農協堆肥工場/(左下)雪和商事(パルシステムのアイスクリーム製造業者)の水の冷却・浄化・CO2削減・風力発電の一体型マシンの開発

▲レインボー・パル基金運営委員
・ドゥコープ理事
山本雅之さん
(社団法人 JA総合研究所理事・主席研究員)

2000年度の創設から今年で9年目を迎えたパルシステムの「レインボー・パル基金」。今年度は過去最多の30団体に対して総額1千5百万円を助成します。レインボー・パル基金は、農林漁業の発展と資源循環型の社会づくりを目的としたパルシステム独自の制度です。調査研究や環境保全、食育推進といった活動を対象に、これまでのべ136団体、7280万円が助成されてきました。
2003年から運営委員を務めているドゥコープの山本雅之理事(JA総合研究所理事)は、「ほかの基金と比べても特長的で、パルシステムにとって非常に役割の高い制度だと思います」と評価します。「今後はとくに、地球環境問題をテーマにした取り組みに期待したいですね」。さまざまなチャレンジを支援するレインボー・パル基金について、お話をうかがいました。

生産者も守ろうとする思想が活動を意義あるものに

「最終的に実用化できるかわからない取り組みでも、積極的に支援していることが大きな特徴ですね。新しいことを始めるには、資金が必要となるものです。そこに少しでも助成されれば、経済的にも精神的にも大きな支えになります。だからこそ、小さな実験でも積極的に支援しようという考え方で助成先を決定しています」と、山本理事はレインボー・パル基金の特徴を説明します。

ほかの一般的な助成制度と異なり、レインボー・パル基金は、対象をパルシステムと何らかのかかわりを持つ団体に限っています。活動分野も、「農林漁業」「環境」「食育」の3テーマと、決して広範囲ではありません。しかし、活動内容は食育活動や田んぼの生きもの調査といった身近なものから、耕作放棄地再生、有機農法実験という大規模なものまで多彩です。活動地域も、国内だけでなく、インドネシアやフィリピンへも広がっています。「スーパーマーケットであれば、生産者は単なる納入業者のひとつです。パルシステムには、消費者の利益だけでなく、生産者も守っていこうとする思想があるからこそ、非常に意義のある活動になっているのです」。


増えてきているのは環境活動

現在、山本理事が注目している分野は「環境」。
「実際、環境をテーマにした申請が増えています。現代の農業はいわば、“石油漬け”。化石燃料への依存を減らし、環境負荷が軽減できるような取り組みを期待しています」。

言われてみれば、農林漁業の現状は灯油や重油で機械を動かし、石油由来の農薬を散布し、できた作物もまた石油由来のフィルムで包装しています。さらに、各種資材や産品の輸送で化石燃料が使用されます。 「今の農業は、環境に大きな負荷をかけるものになっています。地球環境問題を考えれば、これまでの手法を見直さなければならないでしょう。温暖化が進めば、作付けする品目の転換もしなければなりません。そのためには、消費者が理解しながら地球環境への負荷の少ない農業へ転換を進める必要があります」。


視察では思わぬ発見も

運営委員会では助成先を訪問し、各地の状況を視察しています。山本理事も昨年、食物残さを飼料や肥料として利用する取り組みを中心に、北海道と山梨県を視察しました。北海道では、飼料の自給率向上を目的に、食物残さの利用を進めています。配合飼料の多くを占めるトウモロコシは近年、バイオエタノール需要のために価格が急騰しており、それに代わる飼料として食物残さの利用が期待されていますが、現段階では配合率20%にとどまっています。原因は「肉質の低下」や「肥育期間の長期化」というリスクが避けられないからだそうです。一方、山梨県での稲作では、食物残さを発酵させペレット化した肥料で除草効果を認めるという“思わぬ発見”があったようです。

「こうしたことは、現地へ足を運ばなければ得られない情報です。審査は書類のみで行われるため、視察を通じて効果を実感することが、翌年以降の助成につながっていくだろうと感じています」。

北海道、山梨県の取り組みはともに、食物残さという生産が限られたものを利用しています。そのため、全体的な利用普及につなげるには、多少困難かもしれません。「それでも、地域循環型の社会づくりが、持続可能なしくみへと確実に変化しており、シナリオは少しずつ描けています」と手ごたえを語ります。


課題は共有できるしくみづくり

「今後は、これらの活動で得られた効果を集約し、いかに組織的な活動としていくか、また、消費者にどう伝え、農業の現状を理解してもらえるかが課題でしょう」と、山本理事は今後の課題も指摘します。

日本の食料自給率が40%を切るほどにまで低迷している要因のひとつに、畜産飼料の海外依存が挙げられます。食物残さの利用も大事ですが、その一方で、耕作放棄地を活用した飼料の生産なども必要となってきます。

「それを実現するためには、助成で生まれた芽をどう伸ばしていけるか、誰もが参加できるしくみへ、どう再構築できるかが必要になります。また、資源循環型社会を実現するには、現段階では生産のコストアップが避けられません。消費者が理解し、協力しなければ成り立ちません。9年目を迎えた今、助成制度を組合員へ伝える活動と、先進事例をつくっていく活動に整理していく時期にさしかかっているのではないでしょうか」。


小さくても次世代につながる夢の大きな第一歩を応援

最後に、山本理事は「Think Globally Act Locally」(=地球規模で考え、足元から行動を)という言葉を教えてくれました。1972年にアメリカのドネラ・メドウズという学者が、持続可能な社会体系の確立を提唱して使用したそうです。

たとえば、お米を茶わん3杯食べることで、赤とんぼが1匹成育できるだけの稲とそのスペースを確保することになります。それを積み重ねることで自然が育まれ、地球環境を守ることにつながるのです。「できることから行動に移していくことが、循環型社会づくりの第一歩となるのです。レインボー・パル基金でも、次世代を見据えた小さな活動を応援できればと考えています」。

小さくても夢の大きな第一歩を、レインボー・パル基金は応援しています。

【北海道視察の様子】

道内での加工品製造の際に出たビールカス、じゃがいもでんぷんカスなどの残さを飼料として与えている

【山梨県視察の様子】

(左)ペレットを蒔いたほ場/(右)食物残さのペレット化

*本ページの内容は2008年6月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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