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社会貢献活動レポート

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第37回 パルシステムは六ヶ所再処理工場の本格稼働中止を求めています「“いのちのつながり”を、未来に残すために」

▲1月27日の集会の様子

▲パルシステム連合会運営室
大澤忠室長

青森県六ヶ所村で、使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出す再処理工場の本格稼働が予定されています。再処理工場は、平均的な原子力発電所が1年で放出する放射能量を1日で放出するのです。こうした動きを受け、日本各地で本格稼働中止を求める取り組みが始まりました。ミュージシャンの坂本龍一さんや、サーファーやボディーボーダーらで組織する団体も稼働中止を呼びかけています。生協や消費者団体が中心となって「『六ヶ所再処理工場』に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク」が2007年7月に発足しました。パルシステムも呼びかけ団体のひとつとして参加し、1月から本格稼働の中止を求める活動を開始。「原子力発電推進派ですら疑問を感じる人が少なくない」とまでいわれる再処理工場は、本当に必要なのでしょうか。パルシステム連合会運営室の大澤忠室長にお話を聞きました。

目的は核燃料の有効利用と言うが…

六ヶ所村には現在、
●原子力発電の燃料であるウラン濃縮工場
●原子力発電所から排出される低レベル放射性廃棄物の埋設センター
●高レベル放射性廃棄物の貯蔵管理センター
が併設されています。再処理工場は、使用済み核燃料からさらにウランとプルトニウムを抽出し、原子力発電の燃料として再び活用しようという目的で計画されました。

「いのちのつながり」を、子どもたちに残すために。「六ヶ所再処理工場」の本格稼動中止を求めます。パルシステム

つまり、海外から輸入された天然ウランから燃料をつくり出し、原子力発電所で利用。さらに発電で発生する“燃えかす”から、再び利用できるウランとプルトニウムを取り出し、残った廃棄物を埋設もしくは貯蔵管理する。1カ所で核燃料のリサイクルを実現しようという施設群なのです。
「限られた資源を有効に活用するのだったら大いに結構じゃないか」。こうした意見も聞かれます。たしかに、資源を有効活用すること自体は悪いことではありません。それでも、理由があるからこそパルシステムが再処理工場の本格稼働中止を求めているのです。


原発1年分を1日で放出

「再処理工場からは、大気と海中へ放射性物質が放出されるのですが、その放射能量は、原子力発電所とはレベルが違います」。パルシステム連合会運営室の大澤忠室長は説明してくれました。

再処理工場が本格稼働をはじめれば、年間で800トンの使用済み核燃料を処理することになるのですが、その処理過程では、放射性物質を環境へ放出しなければなりません。大気中へは、150メートルの煙突からクリプトン85、ヨウ素、セシウムなどが、沖合い3キロ水深44メートルの海底に設置した排水管からは、トリチウム、テクネチウム、セシウムなどが放出されます。これらは、原子力発電所が通常1年分にあたる放射能量を1日で放出することになるのです。

▲六ヶ所再処理工場
(写真提供/小林 晃)

稼働開始を推進する国や事業者は「大気や海水で拡散されるため問題ない」と説明していますが、大気や海流の動きから広範な地域へ有害な影響が拡大する可能性も指摘されています。ある団体が、排出口近くからハガキ1万枚を海に流す実験を行ったところ、黒潮や親潮に乗って北海道から千葉までハガキが漂着するという結果になりました。逆に、東北地方特有の季節風「やませ」や潮の流れによって狭い地域に集まっていくという研究結果もあります。

イギリスやフランスの再処理工場周辺地域では、白血病を発症する子どもたちが増えてきているという実態もあり、被害はまったく予測できない状況にあるのです。またそのような場合、工場との因果関係を立証することは大変な困難をともないます。


風評被害は生産者を圧迫

人体に影響が出るのであれば、野菜や畜産物、水産物にも少なからず影響するだろうと考えるのが消費者の心理です。「そこでもっとも懸念しなければならないのが、風評被害です。パルシステムの産直産地も、青森県には多くあります。一度事故が発生した場合、パルシステムに商品を提供していただいている産直生産者も被害を受けることになるのです」。大澤さんの話にはさらに熱がこもりました。

「これまでパルシステムは、国産の産直にこだわって商品を供給してきました。それが国内の食料自給率を高め、ひいては国内の食文化を守ることにつながるからです。その国内産直の生産者が生産活動をできなくなる状況に陥っては、パルシステム自体の存在理由が失われかねません。生産者の問題は同時に、パルシステムの問題でもあるのです」。生産者に新たなリスクがかかる可能性を危惧しています。


建設費は当初の見積りの3倍に

また、再処理工場の稼働目的そのものにも、首をかしげざるを得ない疑問が存在します。それは抽出されるプルトニウムです。計画では本来、プルトニウムを核燃料として利用し、高速増殖炉を運転させて起こす発電が主な目的でした。しかし、福井の高速増殖炉「もんじゅ」が1995年に事故を起こして以降、めどは立っていません。つまり、再処理工場では、プルトニウムを抽出しても、使い道がないために厳重に保管しなければならないのです。

経済的な問題も指摘されます。再処理工場は、建設費の当初見積りが7千6百億円だったのに対し、最終的には2兆1千9百億円と3倍以上にまで膨れ上がりました。総コストは、再処理工場分だけで11兆円になると試算されていますが、建設費の例からみてもどれだけコストが上乗せされるか分かりません。「それだけのコストを太陽光や風力といった環境エネルギー開発につぎ込めば、別の可能性を見出せるかもしれません。その意味でも、本格稼働は疑問と言わざるを得ません」(大澤室長)。


ミュージシャンやサーファーも

こうした理由などから、パルシステムでは再処理工場の本格稼働中止を求めています。各地の生協などが呼びかけ団体となっている「『六ヶ所再処理工場』に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク」では、賛同団体が620も集まりました。署名運動は37万9469筆(1月28日現在)を集めています。生協以外のヨコのつながりも幅広く、ミュージシャンの坂本龍一さんらによる「ストップ・ロッカショ」プロジェクト、サーファーやボディーボーダーが環境を守るために組織した「サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン」なども再処理工場の本格稼働中止を求めています。

また、1月27日には「『六ヶ所再処理工場』に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク」が、東京・日比谷の日比谷野外音楽堂でイベント「青森県で核燃料を再処理するロッカショ工場を止めませんか」を開催。多くの参加者を集め、パレードも行いました。「原子力発電の推進派のなかにも、再処理施設には懸念する声が聞かれるほどです。その安全性には疑問を持たざるを得ません」。今後も、活動の輪を広げていく計画です。

「私自身、仕事上でかかわるまで再処理工場の内容を知りませんでした。少しでも多くの人に現状を知ってもらい、エネルギーを取り巻く状況と、今後何をすべきかについて考えてほしいですね」と、大澤さんは呼びかけます。今後の地球環境対策を考えるうえでも、再処理工場は重要な位置を占めているような気がしてなりません。


■六ヶ所再処理工場で行われようとしていることは?
「再処理」とは、原発で使用した核燃料からプルトニウムやウランの燃えかすを取り出す作業。放射性物質を閉じ込めた金属の燃料棒を細かく切り、硝酸に溶かしたうえで化学的にプルトニウムを分離する。 「再処理」で取り出したプルトニウムは、「高速増殖炉」で再利用する計画があったが、これは世界的に頓挫し、また、日本でも「もんじゅ」の事故以来、中断されたままとなっている。つまり、取り出したプルトニウムの使い道がないにもかかわらず、今回、六ヶ所再処理工場の本格稼働が行われようとしている。ここでは、民生用では世界最大規模となる年間800トンの使用済み核燃料が処理される予定で、その際には、広島原爆の何万発分もの膨大な「死の灰」(核分裂生成物)も同時に生み出されることになる。

*本ページの内容は2008年3月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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