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社会貢献活動レポート

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第35回 パルシステムの挑戦 豊かさを問い直す「PETボトルリユース」 社会的責任と生協事業
▲実証実験に協力いただいている戸部商事にて。洗浄後のリユースPETボトルの品質チェック。
9月末、パルシステム神奈川ゆめコープの横浜中センター、コープやまなしの甲府センターでスタートしたリユースPETボトルの実証実験は、テレビや新聞で取り上げられ、大きな注目を集めています。(株)エコサポートの小沢一郎参与に、これまでの成果、今回の実証実験の特徴、今後の課題などについてお話を伺いました。
▲(株)エコサポート
小沢一郎 参与

ドイツで巡り合ったリユースPETボトル

小沢参与がリユースPETボトルに巡り合ったのは、97年に参加したヨーロッパ環境視察。ヨーロッパでは20年前ほどからPETボトルのリユースが始まっていました。「ドイツでは飲料などの容器はびんがベースになっており、家庭の冷蔵庫を開けるとびんだらけ。日本ではプラスチックだらけです」と小沢参与は言います。ドイツではリユース自体が生活に根づいており、消費量の多い飲料などはケース単位でのデポジットも一般的だそうです。そのような中で、PETボトルもびんとの区別なく、当たり前のようにリユースされています。

リユースPETボトルというと、「日本の消費者には受け入れられない」といった意見を耳にします。「日本の消費者はキズがついているPETボトルは買わないといいますが、ビールびんのキズは気にならないですよね。消費者教育をすればいいだけの話です。安全面についても、安全性を確保できる仕組みや設備を整備すればいいことです。PETボトルリユースを実現するためには、課題を一つひとつ、ていねいにつぶしていく以外にないと考えました」(小沢参与)

課題を乗り越え、本格的実証実験に

パルシステムグループでのリユースPETボトルの研究は今年で5年目。2002年秋に2度目の調査団を派遣し、翌2003年2月に研究会を発足させました。2005年には、洗浄技術の調査にテーマを絞った調査団を派遣しています。PETボトルリユースの調査・研究は、進めれば進めるほど、問題点が次々に現れ、それを一つひとつクリアしていく過程だったといいます。「ひとつの山を越えたらまた次の山が待っている。まるで連峰を踏破しているような気持ちでした」(小沢参与)

2005年に経済産業省の助成で調査・研究の大枠をまとめ、2006年にはそれをもとに第1回目の実証実験を実施。今年は第1回目の実証実験の成果を踏まえた本格的な実証実験となりました。今回の実証実験の特徴は次の5点です。

  1. 横浜市(政令都市)、甲府市という行政の支援を取り付けたこと
  2. 同じボトルを3回繰り返して使用すること
  3. ボトルとキャップの開発を行ったこと
  4. 容器のLCA評価をすること
  5. 未・利用者へのアンケートの実施
▲リユースPETボトル洗浄中
「昨年の実証実験では1回だけのリユースでしたが、今回は3回繰り返して使用します。また特定のメンバーには10回まで再使用をお願いし、ボトルの形状変化や安全性の検証を行います。また、ボトルは形状を工夫して通常のものより頑丈で、洗浄しやすい形状にしました。キャップは、ボトルにキャップリングが残らない形状のものを開発。これらの評価も今回の実証実験の重要なポイントです」(小沢参与)

12月まで実証実験を行い、2月には実験内容をまとめ、パルシステム連合会の理事会に最終報告を行う予定です。そのあと今年度中には、本格的に導入するかどうかをグループ全体で判断していくことになります。

“ワンウェイボトルはもったいない「リユース」がいい”

小沢参与は、PETボトルリユースの調査を進める中で「仕組みづくり」の大切さを痛感したと言います。「『3R』は国の政策に位置づけられているのに、日本はリユース社会になっていません。いまリユースがうまく回転しているのは、ビールびんぐらい。リユースが全国的なシステムにはなっていないという現実、そしてPETボトルリユースを進めるためには仕組みをつくることが大切である、ということがさまざまな調査を進めるなかでよくわかりました」。リユースPETボトルの回収率については、生協の無店舗事業のようなシステムにおいて80%程度までは達成可能でも、一般地域ではデポジット制を導入しても50%程度が限界と考えているそうです。地域一般での回収率を上げていくためには行政の協力が必要です。「収集、運搬、カレット化に税金が使われていますが、本来は事業者がやるべきこと。行政にとってもこれらの費用がなくなるのでプラスのはずです」。

あらゆる関係者の協力で成り立つ「リユース」

小沢参与は、「3R」を「誰の努力で実現できるか」という観点で次のようにまとめてくれました。

「リデュース」 企業の努力で実現できるもの。
「リサイクル」 企業と消費者の協力があれば実現できるもの。
「リユース」 容器メーカー、充填メーカー、販売者、消費者、行政など、あらゆる関係者のコラボレーションがあって初めて実現できるもの。

「どう考えてもリユースが一番むずかしい。仕組みづくりが非常に大変なので誰もやりたがらないのです。きちんとやるためにはたくさんのルールや約束事が必要であり、いままでの日本にはなかった仕組みをつくっていかなければなりません」(小沢参与)

PETボトルリユースの調査・研究は、国内では過去に神奈川県や京都府で取り組まれた事例があるそうですが、どちらも実証実験の前の段階まででした。「パルシステムの場合は、実証実験まで進んでおり、注目も集めています。何が何でも成功させないと、『やはり無理だった』と言われかねないし、今後の展開がむずかしくなってしまう」と、小沢参与は実現に向けた意欲を語ります。また、今後に向けては、リユースの仕組み全体の「品質管理」が重要なテーマと指摘。日本でも、仕出し弁当の容器や、最近オフィスなどで見かけるガロンボトルなどがリユースされていますが、これらの品質検査は自主検査でしかないというのが実態だそうです。オランダにはPETボトルリユースに関する品質安全ガイドラインのようなものがあり、HACCPをベースに、充填方法、検査方法などが細かく規定されているそうです。「ぜひこのガイドラインの日本版が必要」というのが小沢参与の考えです。

豊かさを問い直す取り組み「PETボトルリユース」

PETボトルリユースは消費者の支援がなければ成り立ちません。その意味で、このPETボトルリユースの取り組みを小沢参与は、「消費者から国への提案であり、パルシステムが先頭に立っているという意味はそこにある」と言います。PETボトルリユースを実現するためには、一人ひとりのくらしも、事業者も、販売者も、行政も、国も、みんなが変わっていかなければなりません。「これは今の社会を根底から改革すること。地域のあり方が問われているということでもあります。便利になるのはよいことですが、便利になることで被る被害も大きい。豊かさとはなにかということを、リユースという取り組みを通じてもう一度問い直す必要があると思います」。最後に小沢参与は、「PETボトルリユース実現の可否は、技術論ではありません。地域をどうとらえるか、くらしをどう変えていくかという問題にほかならないのです」と結びました。

*本ページの内容は2007年12月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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