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社会貢献活動レポート

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第18回 生協の震災時の対応、そして防災・減災の取り組み 震災から「いのち」を守れ!地域組織としての生協に問われること 社会的責任と生協事業
「みんなの農園」の様子
震災による倒壊
平成17年度の『防災白書』によると、政府は「迫り来る巨大地震」として東海地震、東南海・南海地震が起こりうることを想定、その対策として・減殺目標=今後10年間で死者・経済被害を半減する、・具体目標=住宅耐震化率90%、全沿岸市町村で津波ハザードマップの策定、を挙げています。同時に「いつ起こってもおかしくない大地震」としてマグニチュード7〜8クラスの「首都直下型地震」を想定。首都直下型地震が起きた場合、死者1万1千人、負傷者21万人、倒壊・焼失建物85万棟と予測しています。ひとたび巨大地震が起きたときの被害の大きさは、阪神淡路大震災、中越地震、福岡西南地震などで体験済みです。しかし今、私たちが住んでいる首都圏が最も危険な地域といわれ、被災地・被災者となる可能性が高いのです。これまで地震や台風、洪水等の支援に生協として支援をしてきたパルシステムにとって、首都直下型地震が起きたときに地域で何ができるのか、考える必要があります。日本生協連中央地連大規模災害対策協議会事務局長として、「広域連携プログラム」を作り上げてきたパルシステム連合会運営統括本部災害対策専門員の五辻活さんに、大震災の時に生協が果たす役割についてお聞きしました。


生協全体で被災地を支援する広域連携システムを構築
パルシステム商品統括本部セカンドステージ事業プロジェクト事務局長 小山邦子さん。
パルシステム連合会運営統括本部災害対策専門員
五辻 活(いつつじはじめ)さん
阪神淡路大震災が起きたとき、コープこうべは本部が倒壊し、情報システムも断ち切られてしまいました。指揮命令系統が途絶えた中で、コープこうべの各店舗では、被災当日に店舗の約三分の二、翌日には一部を除いたほとんどの店舗が店を開けていました。店舗自体が被害を受けた店は、店の前に商品を運び出し、営業をしていました。コープこうべは、73年のオイルショック時の教訓として・店舗に品切れを出さない、・公正・適正価格を維持する、・公平な分配をする、ことを決めていました。そして80年には神戸市と「緊急時における生活物資確保に関する協定」を結んでいました。

自ら被災しながらもコープこうべはこの協定に基づき、生活物資の確保に奔走、「被災地に生協あり」といわれ、全国の生協もそれぞれに駆けつけ、被災地の支援にあたりました。

「コープこうべは目の前の被災者の救済に全力をあげるよう発信し、それに対してパートも含めた職員の一人ひとりが応え、目の前の非常事態に対応した」「災害が起こったときに『生協人』として何ができるか、そのステータスが試される」と五辻さん。

阪神淡路大震災後、コープこうべに続いて行政と『災害時の応急生活物資供給等の協定』を全国の生協が結んでいますが、「協定を締結しても生協の側にそれに対する中身の実効性が全く精査されていない状況」であったと五辻さんは言います。実際の災害が起きたときに行政から例えば「水を○○万本、毛布を○○万枚、××に送って欲しい」といわれた時にどこからどれだけ調達し、誰が運ぶのか。2001年日本生協連中央地連に「大規模災害対策協議会」を設置、五辻さんは事務局長となります。協議会では取引業者150社を対象に供給可能品目・数量を調査しデータベース化し、80社と「災害時優先確保協定」を結びます。また、利用可能な中継物流拠点、利用可能な物流車両についても調査を行いました。協議会では「広域連携プログラム」を作成しました。

五辻さんがこだわったのは日本生協連本部の役割でした。大規模災害が起きたときに情報センター、コントロールセンターとなるべき日本生協連に、当時はその自覚が非常に弱かったそうです。2004年9月、いよいよ日本生協連本部の「震災対策マニュアル」の中に中央地連の「広域連携プログラム」が落とし込まれました。そして翌月10月に中越地震が起こったのです。

命を守る「住まいの安全」
「食べ物づくり体験塾」。おぼろ豆腐の手作りに挑戦。
図上演習
広域連携マニュアルをつくっているうちに五辻さんは「物はどうにかなる。むしろ命の問題、そのためには住まいの安全の問題を何とかしなければ」と、考えるようになったそうです。

生協は「食の安全」には先進的に取り組んできました。しかし「くらしの安全=住まいの安全」には取り組んでこなかった気がします。昨年来問題になっているのが住宅の耐震強度偽装問題ですが、今、国をあげての最重要課題が「住宅の耐震化」だといいます。日本は地震列島なのに、個人住宅、ビル、公共施設を含めて4千万棟がいまだ倒壊の恐れのある建物なのだそうです。阪神淡路大震災の時の死者は6千人を超え、負傷者は約4万4千人といわれます。

その被害の多くは建物の倒壊が原因といわれています。災害の被害を減らすために、事前にできる予防が住宅の耐震化なのです。

くらしに応じた耐震対策を斡旋
「みんなの農園入門コース」。うどん打ちのお手伝い。
図上演習
では、生協は何ができるのでしょうか。いつ起こってもおかしくないといわれる首都直下型地震。関東平野は日本の中で最も地震のリスクが高い場所であり、その首都圏で事業を行っているパルシステムは、「事業者としての対策だけでなく、組合員の生活の安全・住まいの安全という点についても呼びかけていかなければいけないのではないか」と、五辻さんは考えています。「神戸の10年を考えると、地震による地域崩壊から町の復興、生活の復興をめざしてきた10年だった。地域社会の3〜4割を構成する生協が地域社会にどのように貢献していくかがこれからの課題」。
 防災講習を頼まれると五辻さんは、「自分の家の間取り」「家族が寝ている場所」「家具の配置」などを書いてもらい、震度6の地震が起きた直後、5分後、10分後…にどういう行動をとるかをシュミレーションしてもらいます。自分でできる耐震診断を行い、危ないようなら本格的な耐震補強の見積りをしてもらうことが大事です。しかし、診断してもらったら5百万円〜1千万円もかかるとなれば誰しも躊躇(ちゅうちょ)するでしょう。しかし百万円前後の予算でも、とにかく「つぶれて死なない』補強の工夫は、いろいろと開発されています。それぞれの状況に応じた対策を、生協は良心的な建築家とネットワークを組み、生協らしい「安全」システムを用意してどんどんやっていくべきと五辻さんは提案しています。それは、これからの生協に求められている、「事業にもなるし、組合員運動にもなる」ものだからです。


コラム
図上演習とは マニュアルでは気づかない、状況に対する想像力を養う、模擬体験のワークショップ。パルシステムでも2005年11月、首都直下型地震が起こったと想定、図上演習を行った。図上演習を行う一番の目的は、首都直下型地震のときのイメージを持って欲しいということ。たとえば、焼け野原となったり、建物が倒壊したり通信が途絶えたりする中で、配達している地域の被災住民は組合員さんかどうか識別できない。そうした被災住民に対して地域を回っていたパルシステムがどうやって通常の供給を復旧できるのか、また、それとは違った生活の復旧をどう支援するのか。被災地の人々が必要としているのは、ものの場合もあるし瓦礫の撤去など人手の場合もある。パルシステムは、その必要としているものをどうやってお届けするのか。できることもあるし、調達できないものもある。できない場合は広域連携システムがある。


*本ページの内容は2006年3月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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