第103回 ネパール大地震 1億円を超える組合員からの支援金を寄贈

ネパール大地震 1億円を超える組合員からの支援金を寄贈
▲建設が進む仮設校舎(提供:シャンティ国際ボランティア会)

女性がレンガを手で撤去
子どもは人身売買の危険

パルシステムでは5月から7月にかけて、ネパール震災支援を目的としたカンパを組合員へ呼びかけ、合計で1億670万315円が寄せられました。支援金は、同会をはじめ、ネパールで活動するNGOへ寄贈し、支援物資の提供や被災者の生活再建を支援する活動などに使用されています。

支援先のひとつ「シャンティ国際ボランティア会」は、震災発生から5日後の4月30日に現地入りしました。「カトマンズ市内を見ると、レンガを積んだだけの簡易な建物は倒れ、しっかりした建築物は残るという"まだら模様"の被害状況でした。山間部は貧しい地域が多く、さらに建物倒壊などの被害が大きいことが予想されます。また、道路舗装も充分でないことから、状況把握だけでも困難な状況でした」と、同会緊急救援室の木村万里子さんは振り返ります。

同会は、アジア各国で本の提供や図書館の開設、読み聞かせなど、教育文化支援を中心に活動しています。そのため、木村さんたちは当初、被害がとくに大きかった2つの郡で学校を中心に訪問しました。調査地域にある学校は、600校のうち9割以上が倒壊していたといいます。「石積みのすき間を泥で固めたような建物が多くありました。ネパールでは、日曜日から働いて土曜日が休みになります。地震発生が土曜日でなかったら、さらに多くの被害が出ていたでしょう」(木村さん)。不幸中の幸いと思わずにいられません。

復興に際しては、ネパールの国内事情が重くのしかかります。山間部の多くの村にとって、おもな収入源は男性の出稼ぎで、残った女性が、生活や子どもの世話をしています。出稼ぎの男性にしても、戻る資金がありません。がれきを撤去する重機を借りる余裕もない人たちは、手作業でレンガを一つひとつ持ち出すしかありません。

さらに、家計が苦しい家庭は、学習用品を用意することができません。大きな被害のあった建物では、子どもたちを学校に通わせるのに不安も残ります。また、訪問した2つの郡は、震災前から人身売買の深刻な問題を抱えている地域でもあります。地震後、両親が被災して孤児になったり、病院に入院したりしている子どもたちが連れ去られる例もあるそうです。

急がれる仮設校舎づくり
子どもたちに安全に学べる場所を

▲おそろいの制服で登校(提供:シャンティ国際ボランティア会)
▲仮設校舎で授業を受ける生徒たち(提供:シャンティ国際ボランティア会)

これらの背景からも、子どもたちの安全に学べる場所を確保することは、地域で喫緊の課題となっていました。そこで同会では、現地で連携しているNGOのひとつが防災建築の設計に取り組む団体だったことから5月末より、学校の仮設校舎再建と学習関連用品の提供に着手することにしました。

仮設校舎は金属製の柱やシート、トタン板などで構成します。1棟は40名程度が学べる教室2部屋を備えたもので、3週間ほどあれば建築することができます。設計や行政への手続きなどは、地元のNGOが担当し、連携しながら建設を進めてきました。

建設にあたっての最大の敵は、雨季でした。ネパールでは7月から8月にかけて本格的な雨季に入ります。道路は、深いぬかるみや土砂崩れなどが発生し、物資の輸送すら困難な状況になりました。さらに今年は"3年に1度"と言われる大きな洪水被害の発生も予想されたことで、さまざまな生産活動がストップ。それによる工期の遅れも懸念されました。「子どもの成長期はとても貴重な時間です。学べない時間は、少しでも短くしなければなりません」(木村さん)。

支援の課題

▲寄せられたカンパ金の活用で子どもたちにも笑顔が戻っています(提供:シャンティ国際ボランティア会)

仮設校舎の建設では、10月末までにカンパ金を使用して8棟が完成する予定です。「学校以外にも住宅などの再建から資材の需給はひっ迫しており、トタン板などは高騰し、現在は隣国のインドや中国から調達している団体も多くあります。建設を急いで質を落とすことはできないので、地元のみなさんと相談し、できるところまで進めていきたいと思っています」(木村さん)。

ほかの団体でも、支援の届きにくい地域を重点とした食料や住宅再建の支援、子ども向けのフリースペース設置、子ども向けレクリエーションキットの配布など、独自の活動を行っており、それぞれにカンパ金が活用されています。

ただし、課題は山積みです。今回は多くの支援が届きましたが、災害によっては被害の大きさでなく、報道の大きさで支援の規模が異なるケースもあります。「緊急支援活動は、いち早い行動と現地の事情に合わせた柔軟な対応が不可欠です。初動時に活用できるような支援のしくみがあれば、さらに安心して支援に乗り出せます」(木村さん)。

東日本大震災同様、緊急支援活動には多くのボランティアが集まりましたが、長期的な支援へとシフトしている現在、関心はなかなか高まりません。

「地域が貧困の救済から開発へとステージを変えようとしているとき、再び貧困へと落ちないようつなぎとめるのも必要な支援です。パルシステムには今後、継続して支援してもらえるような枠組みづくりも期待したいですね」(木村さん)。瞬間的な追い風でなく、背中をゆっくり押すような応援も求められています。

*本ページの内容は2015年9月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。

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